気になるCMを連発、「トリバゴ」の意外な正体 実はドイツの会社が運営していた

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何度かの投資ラウンドを順調に経て、2012年にアメリカの旅行サイトであるエクスペディアが過半数株を買い取って買収。2016年末にナスダックに上場した。2016年12月期の売上高は7億5400万ユーロと前期比1.5倍超に拡大(ただし、営業費用を積極的に投下していることから、前期は4400万ユーロの営業赤字)。いまやサイトには約140万のホテルが掲載されており、世界190カ国でサービスが利用されているという。

だが、現在も1100人以上いる社員の過半数はドイツにおり、欧州のホテル情報に強いなど、欧州拠点の企業という色合いが濃い。目下、本社のあるデュッセルドルフでは2018年の竣工を目指して、3000人を収容できる新たな本社ビルを建設している。

予想とは逆の現象が起きている

今も欧州色の強い会社だが、社内文化は「シリコンバレーをドイツに持ち込んだ企業」といわれるほど、社内ヒエラルキーを極力抑え、フレキシブルな就業時間を実施するなど、ドイツ企業としては新しい存在だ。

かつて、インターネットビジネスによって現実世界で商売をしてきた「仲介業者」はいなくなるといわれた。だが、旅行代理店に代わってオンラインの旅行サイトが現れ、さらにその次にトリバゴのようなメタサーチサイトが登場した。要は、仲介業者がどんどん増えていくという、予想とは逆の現象が見られるということだ。だが、ユーザーにとっては安いお得情報を探せるようになったところが、かつての現実世界との大きな違いだろう。

また、旅行サイト業界ではびっくりするほどの統合が起こっている。たとえば、トリバゴを買収したエクスペディアは、傘下にホテルズ・ドットコム、ホットワイヤー、オービッツ、トラベロシティー、ホームアウェイなどを抱えている。もともとエクスペディアは、マイクロソフトが創設し、後にスピンアウトされた会社だ。

競合のプライスラインやトリップアドバイザーも、同じように数々の旅行関連サイトを買収して取り込んでいる。別々のブランドとして運営しているが、親会社は同じというケースが多い。

こうした旅行サイト業界では、互いの関係やホテルとの提携も断続的に変化しており、かなり流動的な状況だ。われわれユーザーとしては、お得に旅行するためには、その動きによく目を光らせておかなければならないということである。

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