経済を「感じる力」を鍛えると全体感が見える

1人カラオケ普及の影響を知っていますか?

これまで東京地域のタクシーは初乗り料金が「2㎞730円」でしたが、新しい料金体系では、1㎞強で410円となりました。

一定以上の距離を乗った場合には、運賃はあまり変わらないか、むしろ高くなります。しかし、近距離の利用では圧倒的に安くなりますから、いわゆる「ちょい乗り」の需要を喚起できる可能性があるわけです。

ここに来て値下げに踏み切ったのは、タクシーの利用者離れが深刻になっているからだと報道されています。確かに、東京におけるタクシー利用者の数は過去10年で25%減少、運送収入も14%減少しました。今後はさらに利用者が減ると予想されることから、新しい需要の開拓に乗り出したというわけです。

しかし、タクシー業界が値下げに踏み切った本当の理由はもっと別なところにあります。それは急激に進歩しつつある自動運転技術への対応です。タクシー最大手で今回の値下げを主導したともいわれる日本交通の川鍋一朗会長は、近い将来、自動運転車が確実に普及し、これが広告と結び付き、やがて無料タクシーのサービスが登場すると予測しています。

新しいテクノロジーが登場してくると、一定割合の人は拒絶反応を起こし、政治的にこれを食い止める動きも出てきます。しかし、技術の進歩を止めることは事実上、不可能であり、便利な技術は必ず社会に普及し、人やおカネの流れを変えることになります。新しい技術に対する感性はつねに磨いておいて損はありません。

1人カラオケの普及は何をもたらした?

景気の動向が変わらなくても、消費者のおカネの使い方は日々変わっていきます。それが経済の動きに大きな影響を与えることもあります。

消費行動の変化と密接に関係しているのはスマホの登場といったイノベーションなのですが、ここまで大きな話に注目しなくても、消費の変化は身近な出来事の中にも見つけ出すことができます。カラオケはそのひとつかもしれません。

かつてカラオケ店は、学生や会社の宴会用途に多く使われていました。広めの部屋と豊富な飲食メニューを用意することは顧客のニーズにマッチしていたのです。

ライフスタイルの多様化に伴って、大きな宴会を行う職場が減ったことで、現在ではこうした目的で使われるケースは以前に比べてかなり少なくなっているようです。

1人カラオケは、文字どおり1人でカラオケを楽しむことですが、宴会のように大量の食事や飲み物をオーダーするケースはまれです。客単価が安い分、客数を増やす努力をしなければ、利益を上げることは難しいでしょう。

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