タブー視する日本人が知らない潤滑剤の真実 「ローション」との違いを知っていますか
後になって小林さんはその理由を、日本で流通しているものの大半は「ローション」と呼ばれるもので、潤滑剤とは似て非なるものだからだと知る。両者は“使用目的”が異なるのだ。
「男性がマスターベーション用グッズを使うときや、性風俗店でプレーをするときを想定して作られているのが“ローション”で、女性の膣内に入れてうるおいをカバーする“潤滑剤”とは別モノです。前者は肌の表面に使うもので洗い流せますから、トラブルも少ないのです」(小林氏)
しかし「ヌルヌルするから」という理由で、ローションが女性に使われることも多い。そもそも女性の潤いは個人差が大きく、体調にも左右される。いつもは十分に潤っているのに、風邪薬を飲んだり、飲酒したりすると途端に濡れなくなることもある。産後の授乳期や加齢によっても、潤いは減る。
ローションは膣内の水分をかえって奪う
ローションの多くには“ポリアクリル酸ナトリウム”が使われている。これは水分を含むことでヌルヌルを発生させるもので、女性の膣内の水分をかえって奪うことになる。さらに自然に体外に排出されにくいため、カスとして残り、そこに雑菌が繁殖すると炎症を起こしかねない。
「欧米での潤滑剤に相当するものは、日本では“潤滑ゼリー”として販売されています。パッケージに記載してあるので、購入のときは必ずチェックしてください。アイディルーブのような欧米発の潤滑剤は、“カップルで使う”前提で開発されています。女性にトラブルをもたらす可能性がある成分は排除し、安心な成分だけで製造されています……が、そうすると必然的にローションよりも価格が高くなります」(小林氏)
某ショッピングサイトでは「アイディルーブ」の商品は1100~2200円台だが、競合する商品には1000円を切るものも少なくない。目的が異なるとはいえ、日本のユーザーの目から見れば同じ“滑りをよくする液体”。不利な出だしだったのではないか。
「かつての私と同じく性交痛で悩んでいる人や、産後の夫婦生活がうまくいかない人に届けたかったのですが、医療機関やドラッグストアからは関心を持ってもらえませんでした。反対に、この商品を歓迎してくれたのがアダルトグッズショップのバイヤーさんたちでした」(小林氏)
今でこそ女性客を意識したショップも少なくないが、9年前というと「いかがわしい」「入りにくい」というイメージが強かったアダルトグッズショップ。それこそ“ローション”の牙城であったはずだが……。
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