スマホを使った禁煙治療に期待が掛かるワケ 治療継続率向上を目指す新サービスが登場

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同社の禁煙アプリは保険診療による禁煙外来のすき間を埋めるのが特徴。「アルコールから違法薬物まで依存症は多いが、ニコチンは依存性が最も強く、完全に治療するには半年は必要」(佐竹社長)。治療直後は治ったように見えても、時間が経つと元に戻ってしまう。治療期間中の途中脱落も多い。

月1~2回の診察の狭間にスマホでの体調管理や生活指導を介入させる。専門的な心理療法に基づく助言や励ましが、重症度など患者のタイプ別に用意されている。

外来終了後も3カ月間フォロー

たとえば禁煙補助薬の副作用による吐き気を訴える患者に、「たくさんの水で飲めば吐き気が出にくい」などのアドバイスを、LINEのチャットのようなスタイルで届ける。もちろん、重大な問題が生じれば医師と直接対話でき、禁煙外来終了後も3カ月間アフターフォローも受けられる。

キュア・アップの佐竹晃太社長。独自開発したCO測定器とスマホアプリで禁煙を支援(撮影:梅谷秀司)

加えて独自に開発したポータブルCO濃度測定器もカギだ。呼気のCO測定器は禁煙外来の保険適用条件の1つだが、既存のものは据え置き型がほとんどで大きく重い。

キュア・アップが開発した測定器は、手のひらに収まるサイズで100グラム程度。スマホと連携させて息を吹き込むと、CO濃度が表示され、医療機関のシステムにも登録される。

客観的数値を自分自身で確認できるのでごまかしが利かず、自己申告による禁煙指導に比べて成功確率は2倍にもなるという。現在慶応義塾大学病院など8病院で臨床研究を行っており、近いうちに治験申請を行う予定だ。

禁煙支援に保険を適用することへの批判は実は根強い。だが喫煙者のまま放置するほうが医療費負担はかさむ。禁煙後5年未満の人の医療費は年間23万円だが、10年以上になると15万円弱にまで下がる。長期禁煙者を増やすことは、医療経済的な観点からも望ましい。

東京オリンピックをきっかけに、日本も「たばこ規制枠組み条約」批准国の一員として国民の健康を守り、医療費削減につなげていくことが期待されている。

小長 洋子 東洋経済 記者

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こなが ようこ / Yoko Konaga

バイオベンチャー・製薬担当。再生医療、受動喫煙問題にも関心。「バイオベンチャー列伝」シリーズ(週刊東洋経済eビジネス新書No.112、139、171、212)執筆。

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