村上銘柄「黒田電気」取締役候補の思いとは?

安延申氏が村上世彰氏の要請を受けたワケ

——黒田電気の件は村上氏の主張に賛同した、ということか。

日本の電子部品商社業界は今、業界再編が急務。大きな転換点を迎えており、村上氏の問題意識は間違っていないと思う。

電子部品・半導体ビジネスは、サプライヤーもユーザーも、合併や吸収、あるいは撤退などを繰り返してきており、市場構造が激変してきている。一方で自動車などのIoTといった新しい市場も急成長している。ディストリビューター(商社)も今までの取引に頼っているだけでは市場競争に勝ち残れないという時代になっている。

このため、世界的に急速なM&Aや合従連衡が進んでおり、米国のAvnet社、Arrow Electronics社、台湾のWPG社などのメガ・ディストリビューターが台頭し、特に、海外を中心に日本企業の市場を脅かしている。しかし、日本の専門商社は相変わらず小さいまま。間接コストなどがかさむこともあり、これではとても世界で戦えない。

黒田電気は再編の核になるべき

——業界再編を促すために黒田電気の社外取締役になるということ?

黒田電気は電子部品業界の中では規模が大きくて強い存在。十分に再編の核になりうると思う。私自身、買収側に回ったこともあるし、買われる側に回ったこともある。

買収側の経験としては上場企業であったアソシエントテクノロジー社やセキュリティ大手だったヒューコム社を買収したことがある。買われる側の経験としては通産省退官後、最初に作った会社(ヤス・クリエイト)はウッドランドに吸収され、そのウッドランドはフューチャーアーキテクトと合併した。

このようにM&Aの当事者としてさまざまなことを経験してきたわけだが、その中で痛感したのは「企業が存続することと事業が存続することは全く別物で、社員は事業の存続を願っている」ということ。黒田電気は、いわゆる仲介取引だけでなく、製造部門の売り上げ寄与が大きいなど、他の会社にない強みを持っており、そうした事業はさらに発展していく余地がある。おそらく黒田電気の現場におられる社員の方々も今のままで安泰とは思っていないだろうし、事業存続のためにM&Aが必要だと考えている人も少なくないだろう。実際、現経営陣もM&Aの必要性に言及している。

——社外取締役に選任されても1人では多勢に無勢。取締役会で正論を言っても否決されるだけではないか。

6人の他の取締役に対して私1人だけでは確かに否決されるだろう。ただ、現場の営業担当者などは危機感を相当持っているはずだ。何しろ2年前に3200億円以上あった売上高が2200億円台にまで落ち込んでいる。2018年3月期は1600億円と3年前の半分に落ち込む見通しだ。現場のリーダーたちとは危機感が共有できるのではないか。

——5月26日に発表した新中期経営計画では「売り上げ規模の拡大は目指さない」「脱専門商社を目指す」としている。

前回の中計がまだ1期残っているのに「新中計」を出したわけだが、前回の中計では、2018年3月期に売上高4000億円・営業利益130億円を目指していたところ、結果は大幅未達(会社計画では売上高1600億円、営業利益57億円)の見通しである。

まだ前回の中計の発表から2年しかたっていないのに、ここで新しい中計を出し、しかも、新中計の3年目の目標が売上高1800億円、営業利益88億円と、売上高は今年の3月期よりも低く、利益は10%少ししか伸びない計画になっている。これは、それぞれに苦しんでいる電子部品商社の中でも、著しく低い目標。今までの戦略は正しかったのかどうか、もっと真摯に検証すべきではないか。

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