ホンダ「シビック」日本復活の意義とこだわり 7月に登場する10代目は何がスゴいか

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価格は現時点で明かされていないが、「お客様は比較されると思う。インプレッサやアクセラよりはやけに高いと思われないように(価格は設定したい)。装備はおごっている(充実している)ので安くはできないが、両車よりも意味なく高くはできない」とホンダの寺谷公良・日本本部長は話す。記者は車両本体価格で200万円台後半~300万円前後と予想している。320馬力を発生するエンジンを積むタイプRはもっと高価だろう。

ホンダが鈴鹿や熊本で開いたファン感謝イベントで、10代目シビックに先行試乗したホンダ車ユーザーからも「久々にホンダらしいクルマだ」という高評価が多かったという。

ホンダ車ユーザーからも「久々にホンダらしいクルマだ」という高評価が多かった。高性能版「タイプR」も用意される(写真:森川誠一)

今の日本市場で最も売りにくいカテゴリに

ただ、10代目シビックが日本でホンダが事前に想定しているレベルでヒットするかどうかは計りかねる。ここ日本においては爆発的に台数を稼ぐクルマではないという位置づけで投入されるものの、このクラスのセダンとハッチバックは、今の日本市場で最も売りにくいカテゴリだ。加えて売れ筋のハイブリッド仕様がないのも、ユーザーにとって訴求力が弱くなってしまう。

セダンやハッチバック、クーペの普通車が大勢を占めた昭和の時代とは違って、今は経済性に優れた軽自動車やコンパクトカーの走行性能や品質、安全性が大幅に向上。国産車だけでなく輸入車も含めてワゴン、ミニバン、SUVなど、さまざまなスタイルの乗用車がそろう。

そんな日本市場において、「昔の名前で出ています」というクルマをたくさん売っていくのは本当に難しい時代になっている。いったん大成功を収めてもモデルを追うごとに新鮮味は薄れ、ユーザーの要求はどんどん高くなり、以前のモデルのイメージを引きずり、ライバルとの競争も激化する。ユーザーの好みも変わる。ホンダでいえば「フィット」「ステップワゴン」「オデッセイ」。かつてほどの人気は保っていない。

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