ホンダ「シビック」日本復活の意義とこだわり 7月に登場する10代目は何がスゴいか

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試乗モデルに搭載されていたCVT(無段変速機)は、パワーロス感が少ないが通常のトルコンATに似た印象がある。今回は試乗できなかったが、ハッチバックには6速マニュアルトランスミッション(MT)も用意されているのは興味深い。

ステアリングから伝わるタイヤの感触が実に素直

ステアリングに対する反応は極めて良好だ。初期の応答性が特に高いワケではないが舵の操作角度と車から伝わるG、ステアリングから伝わるタイヤの感触が実に素直。タイヤが鳴り続けるほどの高い横Gをかけたまま回り込むコーナーでもステアリングで修正をすることなく一定の舵角のままで走り抜けられる。その先のヘヤピンで大きく舵をいれても、リアも安定し舵角に沿った動きをする。見方によっては機敏さに欠けると感じるかもしれないが実に操作に対してリニアな反応で、これがホンダらしさだと個人的には考えている。

再び記者の考察に戻そう。モータージャーナリストや自動車評論家の足元にも及ばないが、記者はかつて某自動車関係会社に勤め、小型車から高級車、スポーツカー、トラックなど、さまざまな車種を乗り比べた経験がある。クルマのことは一般の人より、少しだけだが詳しい。

そんな記者のレベルでは、10代目シビックのクルマとしての仕上がりにあまり文句はつけられない。コーナーでは吸い付くように走り、運転者の意のままに操れる。ビックリするほど速くはないが、十分なパワーがある。基本的な走行性能は高く、横幅1800mmは運転に慣れていない人だと狭い道のすれ違いや車庫入れなどで気を遣うかもしれないな、という印象があるぐらいで、デザインも素直にカッコいいと思える。

各領域の担当者がやりたいようにやった結晶

試乗会に参加していたホンダ関係者が口をそろえていたのが、10代目シビックは「ホンダらしさを体現した」という趣旨のフレーズ。その語り口調に彼らの自信がみなぎっていた。人によって解釈はさまざまだが、前出の三部氏によれば、「クルマづくりの土台となるプラットフォーム(車台)やエンジンをゼロから開発したことが大きい。各領域の担当者がやりたいようにやった」という。

9代目までのシビックは地域や国ごとに造り分けていたが、10代目はグローバルで統一されたモデルだ。セダンはアメリカがメイン、ハッチバックは欧州を主要なターゲットにしている。

主に欧州で呼ばれている乗用車の分類では、車体サイズやエンジン排気量などから、10代目シビックは「Cセグメント」に位置づけられる。日本車ならマツダ「アクセラ」やスバル「インプレッサ」、輸入車ならフォルクスワーゲン(VW)「ゴルフ」が代表選手。メルセデス・ベンツ「Aクラス」、BMW「1シリーズ」、アウディ「A3」などがこれに当てはまる。

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