日本人が意外と知らない「データ分析」の本質 「スマホで学力が下がる」説を信じていますか

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相関と因果を混同すると何がマズいのか。勘違いを犯して恥をかくというだけの話ではない。本当は原因ではないことを原因と取り違えると、ムダな努力に繋がってしまうからである。テレビやスマホが学力低下の原因ではないにもかかわらず、両親が使用を控えるよう一生懸命説得し、監視を続けていたとしたら、労力のムダ以外の何者でもないだろう。

因果関係の実証自体は専門家の領域だが、偽の因果ではないか、と疑う思考法を身につけることは、数字に疎い初心者にでもできる週刊東洋経済は5月29日発売号(6月3日号)で『今から始める データ分析』 を特集。データ分析の必須教養と最新事例を網羅する中で、中室氏がそうした思考法の一つとして提唱しているのが、「もし“原因”となる〇×がなかったら」をイメージすること、だという。

鵜呑みにせずに考えてみると怪しさに気づく

鵜呑みにしたくなる思いを抑えて考えてみる。もし、スマホやテレビを取り上げたとしたら――。子どもたちはテレビゲームや友だちとのショッピングなど、別の遊びに時間を使うかもしれない。スマホ以外の端末でもインターネットに接続することはできてしまう。ならば、原因はスマホとは別のところにあるのではないか。こうした想像が働き、一見もっともらしい“因果”の怪しさに気づくきっかけになるという。

IT(情報技術)の賜物か、私たちはデータ氾濫の時代に生きている。入手できるデータはどんどん詳細かつ大量になり、AI(人工知能)によって分析技術は発達し、より手軽にデータ分析が行えるようになってきている。しかし、私たちの頭はその技術進歩についていっているだろうか。

普段の私たちは、批判的な思考をできているつもりでいる。しかし、実際に真実を見抜くのはそう簡単ではないようだ。

AI、ビッグデータ全盛の時代だからこそ、データの誤った使用事例を知った上で、それを適切に読み解き、使いこなす能力が欠かせない。それは今後も機械では置き換えられず、人間の役割として残るものなのだ。

西澤 佑介 東洋経済 記者

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にしざわ ゆうすけ / Yusuke Nishizawa

1981年生まれ。2006年大阪大学大学院経済学研究科卒、東洋経済新報社入社。自動車、電機、商社、不動産などの業界担当記者、19年10月『会社四季報 業界地図』編集長、22年10月より『週刊東洋経済』副編集長

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