アマゾンと急成長する物流ベンチャーの正体 EC危機は商機!マザーズ上場ファイズの勝算

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物流業界では人材不足も深刻だ。ヤマトの苦境も宅配ドライバーの採用が想定に届かず、外部委託に頼らざるをえなかった面が大きい。ただその点についても「不足はしていない」(榎屋社長)と言い切る。「人材派遣会社から派生したので、人を集めるノウハウは引き継いでいる。物流会社が集めるのとは違う」(同社長)。

アマゾン依存が高いというリスクはある。だが、アマゾンでの実績が小売り各社の評判となり、コンビニをはじめECを育成中の企業との取引は増加している。コンビニやスーパーなど小売業のEC強化に合わせ、今後も活躍の場は広がりそうだ。

投資家の評価も上々だ。株式公開した3月15日、初値は公開価格の3.2倍となる4010円を付けた。その後も上昇を続け、5月9日には一時8930円まで上昇。現在はやや戻しているものの、7750円と高水準を維持している。

管理職の育成が成長のネック

ファイズは従業員の増員に備え、新しいオフィスへ移転準備中だ

ではファイズに死角はないのか。榎屋社長が唯一、焦りを見せたのは従業員教育だ。「とくにマネジメント層の教育が追いつかない」(同社長)。現在は正社員として雇用後、3年ほどでマネージャーに位置づけられる課長になることができるという。

大型輸送、庫内作業、宅配などのプロセスごとにマネージャーを配置している。「マネージャー同士の連携ができないと、一気通貫がうまく機能しない」(榎屋社長)。荷物量に対して人手を確保できても、ハンドリングできる人材を育成できなければ、強みとするパッケージ化した物流の仕組みは崩れかねない。

ファイズは人材育成の課題をどうクリアするのか。物流ベンチャーの挑戦はまだ始まったばかりだ。

鈴木 良英 東洋経済 記者

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すずき よしひで / Yoshihide Suzuki

『週刊東洋経済』編集部記者

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