iPhoneが変える!? 波乱の携帯ビジネス ついに日本に上陸

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発売イベントの席上、孫正義ソフトバンク社長は感無量といった面持ちでそう語った。無理もない。07年1月のアイフォーン発表以来、孫社長はアイフォーンに関する質問に対し正面からのコメントを避け続けてきた。その裏でNTTドコモに奪われまいとアイフォーン獲得にかけた努力は半端ではなかった。「もうダメだと覚悟したこともあった。しかし社長は絶対にあきらめなかった。アピール合戦に勝ち残ったということだ」(ソフトバンク幹部)。

アップルは、秘密保持契約をはじめとした情報管理の厳しさに定評のある会社。発売までは自由に端末を見ることも触ることもできない。そのため、ソフトバンクショップを展開する販売代理店も混乱状態が続いた。秘密保持契約にサインをした店員が研修に臨むかたわら、「日常業務に支障が出るほどの問い合わせの電話」をこなし、「あわててiPodタッチ(インターフェースがアイフォーンと同じ)を買って勉強した」店も。販売店にしてみれば、アイフォーンは売り場を活性化し集客効果が見込める商材。多くの代理店がこれまでにない力の入れようでアイフォーン発売日を迎えた。

アップルが採用した日本型奨励金モデル

ドコモをはじめとする通信事業者(キャリア)主導による端末開発が主流の日本の携帯業界にアイフォーンを引っ提げて現れたアップルは、“黒船”とも呼ばれている。

マックやiPodで積み上げてきたコアなファンをベースに、独自のサービスを積み上げているのがアイフォーンの強みだ。「ハードとソフトとサービスをひっくるめて、一つの商品に仕上がっている点が今までにない新しさ。ビジネスモデルの完成度は高い」(宮川潤一・ソフトバンクモバイル取締役→関連記事)。

アップルは、さまざまな形で収入を得るビジネスモデルを築いている。初代アイフォーンでは2年間契約という縛りがあったうえに、599ドル(その後399ドルに値下げ)という割高な小売価格を設定。さらに、キャリアがユーザーから毎月得る通信収入の数十%を徴収する「レベニューシェア」という仕組みを敷いてきた。さらに、iPod向けの楽曲販売でも稼げる。つまり、ハード販売、レベニューシェア、楽曲販売の3本が収入源だった。

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