フジテレビ「新しい波24」が映す若手の閉塞感

ナイナイ輩出の番組復活に低迷の理由がある

言い換えれば、「1組のネタ時間が短くなり、よくあるオーソドックスなネタ番組と同じ」ということ。過去のシリーズでは、「無名の若手芸人を大胆に発掘し、10~20分程度の長い時間フィーチャーして魅力を引き出そう」という形式を採用していました。

この変化によって、「4~5組に増やすことでリスクが分散され、大コケしない」というメリットが得られる反面、「1組ごとの熱量は少なくなり、強いインパクトを残すのは難しい」というデメリットを抱えることになります。

たとえるなら、「野球の打席で2ストライクのピンチに追い込まれたため、ホームラン狙いのフルスイングをやめて、ヒット狙いに切り替えた」というイメージ。前述したように、「新しい波」「新しい波8」はスター芸人とゴールデンタイムの番組を輩出しましたが、続く「新しい波16」は不発に終わりました。

そのため別の形を模索しているのでしょうが、「出演者を増やしてリスクを分散させる」という無難な方法を選んだところに、現在のフジテレビが抱える苦しさが見えます。もともと「新しい波」シリーズ最大の魅力は、「無名の若手芸人が番組の主役になり、力の限りを尽くして泥臭く笑いをつくり上げていく」「スタッフも無名の若手芸人に千載一遇のチャンスを与えつつ、プレッシャーをかけながらサポートする」という熱気。無難な方法を選んだことで、これが失われてしまった気がしてならないのです。

「無難な方法」が新たな社風に?

会社の業績が落ちたとき、あるいは、個人の成績が低迷したときほど、失敗やリスクを恐れて、目先の数字を取りに行きがちですが、往々にして計算どおりにはなりません。自社より業績上位のライバル会社に同じ無難な方法を取られたら、それを上回るのは至難の業。ビジネスにおける劣勢時の勝負手としては、圧倒的に弱いのです。

その他にもフジテレビは、この春に新たなクイズ番組を2本スタートさせましたが、これも目先の数字を欲しがった無難な方法。「近年これといったヒットや視聴率ランキングに入る番組はないが、ファミリー層に訴求できるので大コケはしにくい」という意味でクイズ番組は、まさに「ホームランを捨ててヒット狙い」の無難な方法と言えます。さらに、春ドラマで刑事・探偵モノを全局最多の4本も放送しているのも、「ホームランを捨ててヒット狙い」の表れと言えるでしょう。

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