「年商1億円でも赤字ばかり」の社長5つの特徴 独立を目指す人にも伝えたい「基本中の基本」

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本を読んで、そこに書かれていたことをすぐに実行し、自社に取り入れること自体は、よいことでしょう。しかし、本に書いてある言葉の意味を履き違えて、自分に都合よく解釈してしまっていることに気づいたのは、厳しい現実に直面したからでした。

さらに、「おカネ」に関する自己啓発書には、「おカネは後からついてきます」、だから、「目の前のことを一生懸命頑張りましょう」というようなことがよく書いてありました。

僕はそれを信じて、「今は大変だけれど、きっとおカネは後からついてくるはずだ」と自分を叱咤激励し続けました。しかし、結局おカネは後からついてきませんでした。

これも今ならわかるのですが、「会社の数字のことをしっかりと理解したうえで、目の前のこと、たとえばお客様に真摯に向き合えば、おカネは後からついてくるのだ」と。

「儲けパワー」を高めて、幸せに働こう

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もしも、あなたが勤めている会社の社長が、またはご自身で事業をしている方が、昔の僕のような状態だとしたら、危険なサインかもしれません。

上記の1~5以外にも、僕はさまざまな失敗を重ねました。そんな会社がいつ潰れてもおかしくない状態で途方に暮れるなか、僕はある日、ひょんなことからスゴ腕の税理士さんと出会いました。

その出会いがきっかけで、「年商1億円でも赤字」の状態を抜けることができ、その後はずっと黒字を継続できるようになりました

その税理士さんは、「利益がいくら残ったかが大切なのであって、売り上げがいくら上がったかはさほど重要ではない」と指摘してくれました。さらに、数字が苦手な僕に、儲かっているかどうかの指標となる「限界利益率」について、税理士さんは「儲けパワー」と呼んで、その大切さを教えてくれました。

今は、その「儲けパワー」を上げ、スタッフに幸せに働いてもらい、いい商品をお客様に届けることが毎日の楽しみになっています。銀行とも、程よいお付き合いで、自己啓発書も、どんな背景で書かれたのか、どんな思いでその言葉を伝えているのかを、考えながら読んでいます。

「売り上げよりも利益が大事」というのは、非常に当たり前の話ですが、それに気づいていなかったのが過去の僕です。そして、「気づく」と「気づいていない」にはものすごく大きな違いあるのは、会社が倒産寸前になるという痛い思いを味わったからこそ、感じています。

だから、この記事を読んだあなたが、また、あなたの周りの人が、もし「売り上げよりも利益が大事」と気づいていなかったら、僕みたいな過ちを犯さないようにそっと教えてあげてください。

古屋 悟司 花屋「ゲキハナ」社長

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ふるや さとし / Satoshi Furuya

楽天市場で人気の花屋「ゲキハナ」を運営。1973年生まれ。2004年、順調だった営業の仕事を辞め、たった1カ月の研修ののち、花屋を開業。いきなり閑古鳥が鳴くようになり、背水の陣でネット販売に着手。売り上げはうなぎのぼりになったが、数年後、決算書を見るとずっと赤字だったことに愕然とする。その後、会計を学んだことをきっかけに、倒産の危機を乗り越え、V字回復に成功。以降、黒字を継続中。現在は、「ゲキハナ」の運営に加えて、「黒字会計.jp」のサイト運営や管理会計ソフトの販売を通じて、小さな会社を中心に「黒字化のノウハウ」を紹介している。

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