JR貨物、悲願の株式上場に立ちはだかる障壁

鉄道ついに黒字化、物流の存在感も高まるが

鉄道貨物の強みを発揮するためにはどうするべきか。転機となったのが、2004年から運行が始まった佐川急便の「スーパーレールカーゴ号」だ。東京と大阪の間を6時間程度で結び、顧客が列車単位で買い切る「専用列車」のはしりとなった。2006年にはトヨタ自動車の「トヨタ・ロングパス・エクスプレス号」が登場し、現在名古屋と盛岡の間を1日2往復する。

JR貨物のコンテナ。企業が専用列車を走らせる動きがジワジワと広がっている(撮影:尾形文繁)

このほか福山通運の「福山レールエクスプレス号」が1日3往復、東京、大阪、岡山、名古屋、福岡など主要都市間を駆け巡る。

また、イオンが「鉄道輸送研究会」を立ち上げて花王などのメーカーと連携し、年に数回、専用列車を走らせている。

キリンビールとアサヒビールが関西の工場で作ったビールを金沢まで共同配送するという取り組みも始まった。2013年頃から顕在化したトラック運転手不足が追い風になった面もある。

データに基づく経営に転換

経営改善に向け、2013年に外部から招聘したのが、現会長の石田忠正氏。日本郵船の副社長や日本貨物航空の社長を歴任した海運・空運のプロだ。新たな視点によるJR貨物再建の担い手としてはベストの人材だった。

JR貨物に来て石田氏が驚いたのは旧国鉄時代の意識が抜けきっていないことだった。

たとえば、コンテナの調達コストは海運業界に比べ明らかに割高。資材調達部署に1円でも安く調達しようという発想がなかったのだ。営業面では、行きは荷物が満載でも、帰りは空(から)の列車が走るのは当たり前。少しでも空きを埋めようという意識が希薄だった。

「石田会長は数値に基づいて経営を見るという姿勢が徹底している。われわれはデータを持っていたが、使いこなしていなかった」と、JR貨物の田村修二社長は言う。

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