北海道「JR特急vs高速バス」の仁義なき戦い 自治体は「鉄道一辺倒」ではない
「現状ではJRは“本数が少ない” “高い” “それほど速くもない”と、すべてにおいて“帯に短し襷(たすき)に長し”といった具合です。そもそも急ぐのであれば、新千歳・丘珠空港まで飛行機に乗る選択肢もあるわけですから」(前出の道東の自治体関係者)
鉄道という視点だけで見れば、宗谷本線や石北本線の特急ダイヤの変更は利便性を大きく損なったということになる。だが、札幌までの公共交通全体で見れば、高速バスが直通の利便性を維持しており、結果としてJRの乗客離れを加速させるだけの結果になる可能性が高い。
市内を走る鉄道路線の廃止を受け入れた夕張市の担当者も言う。「石勝線夕張支線の廃止で”夕張へのアクセスが不便になるのでは”という人がいる。でも、もともと札幌から1日3往復の高速バスがあるし、冬期のスキーシーズンには新千歳空港からの直行便もある。市民の日常の足さえ確保できれば、鉄道の有無はあまり問題になりません」
「鉄道ありき」ではない議論を
ともあれ、筆者も含めて鉄道ファンだと遠隔地へのアクセス手段は鉄道最優先で考えがち。だが、いつも沿線で暮らしている地元の人たちは高速バスや飛行機なども天秤にかけて利用している。
夕張市の担当者は「鉄道ありきではなく、どのような交通体系が利用者にとって便利なのか、その本質を踏まえて議論しないとダメ」と話す。バスとて運転手不足が深刻化しており、簡単に鉄道のバス転換というわけにはいかないのも事実。人口の減少が避けられない中で、住民にとって利便性が確保される交通体系の構築こそが求められている。
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