北海道「JR特急vs高速バス」の仁義なき戦い 自治体は「鉄道一辺倒」ではない

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札幌から遠く離れた道内の各都市でも、札幌への出張などではJRではなく高速バスを選ぶ人も少なくないという。

「住民の出張や買い物、札幌の大学に進学した学生さんの帰省はもちろんのこと、われわれ役場の人間も札幌出張ではJRではなくて高速バスを使う人が少なくありません。援助しているからというだけではなく、運行本数も多いし値段も安い。JRさんが苦しいのはわかりますが、現状ではちょっと不便ですよね」(前出の道東の自治体関係者)

利用者の減少に伴う経営悪化によって運行本数が削減され、さらに利便性が低下して利用者がますます減り、高速バスに乗客を奪われる。まさにそんな悪循環に陥っているというわけだ。

札幌―函館・室蘭間は拮抗

では、実際には高速バスとJRの特急列車、どちらが便利なのだろうか。JRの特急が運行されている道内主要都市と札幌の間について、運行本数・価格・所要時間を比較してみよう。
(所要時間はおおよそ。鉄道の運行本数は定期列車のみ、価格は自由席)

■札幌―函館
鉄道:「北斗」「スーパー北斗」
<1日12往復、8310円、3時間30分>
バス:「高速はこだて号」「函館特急ニュースター号」
<1日14往復、4810円、5時間30分>

札幌―函館間は特急列車も多く、利便性ではバスと遜色ない。高速バスでは夜行便の設定もあり、すみ分けができていると言えそうだ。

■札幌―室蘭
鉄道:「北斗」「スーパー北斗」「すずらん」
<1日18往復、4290円、1時間20分>
バス:「高速はやぶさ号」
<1日14往復、2060円、2時間30分>

この区間も鉄道の運行本数が多く、所要時間もバスより1時間以上速い。価格差を考慮しても鉄道とバスが拮抗している状況だ。

■札幌―釧路
鉄道:「スーパーおおぞら」
<1日6往復、8850円、4時間>
バス:「スターライト釧路号」「釧路特急ニュースター号」
<1日9往復、5770円、5時間30分>

バスの運行数が特急列車の本数を上回り、価格差は約3000円。所要時間の差が1時間半であることを考えれば、バス利用のほうが利便性が高いと見ることもできそうだ。

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