米国で「戦争に備え始めている人」の言い分

本当のXデーは9日の韓国大統領選!?

ケビンさんは講座が終わるや否や、一切の迷いなく、ユタの土地を買うことにした。現在暮らしている家は、貨物のコンテナを利用した住宅。プレッパー仲間の1人に建築家がいて、彼の協力を得て建てた。コンテナを選んだ理由は強度が高く、何があっても倒壊の危険がないため。地下室は日持ちのする保存食や日用品の保管場所に使っている。

電力や水道は普通に通っているが、屋根には太陽電池パネルを設置し、雨水を飲料水として貯蔵できる大型タンクも設置している。車はガソリンで走る普通の車以外に、電気自動車1台と電動式ゴルフカートを1台購入、家畜数匹と畑などは、スティーブさんの指示に従い整えた。現在、自宅に設置可能な風力発電機を自力で作製中。これからも「より完璧」に、有事への備えを進めたいと語るケビンさんの鼻息は荒かった。

ケビンさんは語る。「家族に少しでもよい生活をさせたいとずっと思ってきた。けれど物質的裕福さを中心に置く生活なんて幻だよ。何かあったら、そんなものは一瞬で消えてしまう。以前の仕事の仲間は僕を狂っているとたまに言うが、戦争間近と言われている中で、平気で弾道ミサイルが飛んでくる可能性のある西海岸の都市に住んでいるほうが、僕に言わせれば狂っているとしか言いようがない。僕はプレッパーというより、生活そのものをサバイバルに変えてしまったが、何の後悔もないね」。

なんだか物々しい米国の雰囲気

彼らの話を聞いて、本当に世の中にはいろいろな人がいるものだと思った。有事や自然災害に備えることは確かにこんなご時世では重要だろうが、彼らの準備があまりにもスケールが大きいので、話していて呆気にとられるやら感心するやらで、タジタジになってしまった。

しかし、何といっても朝鮮半島事情にもかなり詳しいスティーブさんが真剣に「5月9日がXデーだ」と言い続けたために、背筋が寒くてたまらなかったというのが、取材後のいちばんの感想だ。何事もないことを祈りたいが、米国における有事に向けた緊張感はあちこちで見られるので、スティーブさんの言葉を思い出しては非常に怖くなってしまう自分がいる。

このところ、普段は見られない様子に遭遇することが増えた。たとえば、一昨日は高速道路で米軍のトラックが何台も連なって走っているのを見たし、今日は「訓練なので安心しろ」というアナウンスはあったものの、シアトルから対岸に向かうフェリーに乗船した際に、フェリーの横を沿岸警備隊の船がピタリと護送して、とても物々しかった。

いったいこれから朝鮮半島の緊張はどうなっていくのだろう。うわさされる第2次朝鮮戦争など、永遠に来なければいいと願わずにはいられない。

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