開業まであと2年「おおさか東線」工事の現場 新大阪-放出間の建設はどこまで進んだか
東淀川駅を通過し、神崎川を渡ったところで梅田貨物線と分岐する。ここから城東貨物線との合流地点まではあまり距離がないため、30‰(パーミル)の急勾配を駆け上がり、東海道本線をまたぐ形で右へ大きくカーブする。ちなみに30‰とは、100m進むごとに3m上がるという勾配で、6両編成の列車だと前後で3.6mの高低差があることになる。
東海道本線をまたぐ跨線橋はすでに鋼製桁(けた)の設置が完了し、現在はコンクリートを打設する準備中。その先の高架橋はすでに完成し、一部では線路が敷設されていた。
線路の下にバラスト(砕石)はなく、コンクリートの床(道床コンクリートと呼ぶ)に直接まくらぎとレールが設置されている。「弾性まくらぎ直結軌道」という方式で、列車の走行に伴ってバラストがすり減り線路が歪む「軌道狂い」を起こさない。
コンクリートに強度を増す秘密が
そして、実はこの道床コンクリートにも秘密があるという。
「道床コンクリートに『バルチップ』と呼ばれる繊維補強材を混ぜることで、鉄筋の使用量を少なくし、コストダウンや施工の省力化につなげています。また、従来の構造よりも強度が確保でき、ひび割れなども起こりにくくなります」(小野さん)
ちなみにこの工法は、JR西日本がメンテナンスフリーの線路の標準タイプとして宇野線大元駅(岡山県)で2001年に初めて導入。以降、学研都市線のJR三山木駅(京都府)、北陸本線小松駅(石川県)、おおさか東線南区間のJR俊徳道駅―新加美駅間の高架区間など多くで採用している。
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