「毎年採用」を漫然と行う会社が崩壊するワケ

人の採用は遠い先を見越して考えるべきだ

歴史を振り返れば、つねに新しい仕事が生まれてきますから、失業者が何十%にもなる、と考える必要はありません。しかし、少なくとも現在の会社は、いまの設備が10年後には確実に陳腐化するということを前提に、それぞれの仕事を考えておく必要があるのではないかと思います。だから少子化は好ましいという論者もいますが、これはわかりません。新しい仕事がどれほどの雇用を必要とするか、今は不明だからです。

しかし、設備、什器備品、情報機器は、必ず陳腐化します。もちろん、だから今、まったく設備投資をすべきではないということではありません。そのようなことで拱手(きょうしゅ)しておれば、激しい競争に勝ち抜いていくことは不可能です。申し上げたいことは、そういう時代、そのような世の中が指呼(しこ)の間にやってくるということです。そのような「明日」を頭に入れながら、経営をする、設備投資をする、あるいは、会社の将来の方向を見定めなければならない「時」であるということ、すでに多くのビジネスマン、経営者の皆さんはご承知のことですが、あえてそのことを申し上げておきたいと思います。

あと10年後のそのあとは?

特に、考えておかなければならないことは、社員のこと、人材のことです。今の会社のままでは人員が過剰になるのです。にもかかわらず今必要だからといって採れるだけ採っている会社が多いように見受けられます。

しかし、あと10年後以降はどうするのでしょうか。その時はその時、リストラをします、というようでは、その会社は衰滅するでしょう。また、そう考える経営者、責任者がいるとすれば、発展成長はないでしょう。

いま、多くの家電メーカーが呻吟(しんぎん)しています。なかには、消滅してしまった企業もあります。どうして、そうなったのか。安易なリストラが「怨念(おんねん)の解雇」になったからです。リストラされた社員は、遺恨を持ち、その会社の製品をまったく買わない。意地でも購入しない。量販店で、あえて他社の商品を買います。ということは、たとえば5万人のリストラをした会社は、5万人、いや、5万家庭(5万×4人=20万人)の顧客を失ったことになります。

それだけではなく、その会社で身に付け、覚えた技術、ノウハウを他社に再就職して開陳伝授する。結局、その会社のリストラは、競争相手を増やすだけです。そして、価格競争で敗北し、あえなく苦境に追い込まれる。三洋電機やシャープが経営危機に陥り、パナソニックや台湾・鴻海精密工業の傘下に入ったのは、そこに大きな原因の1つがあります。倒産までは行かなくとも、安易なリストラで、のたうち回っている会社は、ほかにもあるのはご承知のとおり。私からすれば、自業自得、因果応報としか言えないように思います。

人ほど貴重なものはありません。しかし、人ほど怖いものはありません。一時的な利益確保のために、リストラを安易に行うべきではありません。言い換えれば、人の採用は、十分に先を考え、見越して、考えていく必要があります。今、採りたいから、今必要だからといって、会社の思いだけ、「今」だけを考えて、人を採用していくことは、禍根を残すということです。既述のとおり、とんでもない「しっぺ返し」を受けることになるということです。

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コロナ危機の自動車部品メーカーへの影響は、過剰な設備と人員を抱えていた日産系でとくに深刻。比較的堅調だったトヨタ、ホンダ系も無傷ではありません。世界レベルでの技術開発競争は激化の一途で、生き残りへの再編と淘汰が始まろうとしています。