日本が「屋内全面禁煙」を目指すべき根拠

WHOが塩崎厚生労働相に積極的な働きかけ

記者会見するWHOのダグラス・ベッチャー生活習慣病予防部長(写真:濵田理央)

厚労省が勧める分煙型の受動喫煙対策については、同じくレストランやバーを分煙にしたスペインで、受動喫煙の数値があまり改善されなかったことを挙げ、「部分的禁煙は効果がなく、受動喫煙を防ぐことはできない」と主張した。

全面禁煙の導入では、売り上げへの影響を懸念する飲食店もある中で、「たばこが経済に及ぼす影響について調べたWHOの研究で、全面禁煙を導入したアメリカや南アフリカなどの国々では、レストランの売り上げ減少はなかった」と述べ、悪影響が出る可能性を否定した。

むしろ、「レストランを訪れる人は、きれいな空気の中で食べたり飲んだりしたいという理由で、全面分煙をとても支持している。市場価値の研究では、完全禁煙にした方が価値が高まった」と強調した。

オリンピックを機に、ロシアや中国などの過去の開催国が禁煙に取り組んできた実績を踏まえ、「国レベルでアクションをとるきっかけになる。完全禁煙の法律を目指すべきだ」と述べた。

禁煙への反発で、日本で法整備が進まないことについて問われると、「他の国も同様の追及や疑問があった。経済や健康を守るため、完全禁煙の法律は当たり前になるべきだ」と話した。

厚労省案は分煙型、自民議連は反発

厚労省が3月に公表した原案では、病院や学校が敷地内禁煙、福祉施設や公的機関は屋内の全面禁煙とする一方、飲食店や娯楽施設は喫煙室の設置を認め、分煙となっている。中でも、議論となった小規模のバーは、規制から外した。

これに対して、禁煙に反対する自民党のたばこ議連が、禁煙の導入を飲食店の判断に委ねることを盛り込んだ「対案」を提示。国会内で反発する動きが出ており、受動喫煙対策の法整備が滞っている。

(文:濵田理央)

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