五輪で繁忙、建設業は「週休2日」すら取れない 工事現場の「ホワイト化」目指し業界が団結

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一方、週休2日の徹底で別の問題も浮上する。下請けの技能労働者の収入だ。彼らの多くは賃金が出勤日数に応じて支払われるため、現場を土曜休みにすると大幅に減る可能性がある。勤務日数が週6日から5日になるため、単純計算で日給を2割上げなければ、技能労働者は従来水準の月収を確保できない。

発注者側が工期延長を受け入れるか

技能労働者が加入する全国建設労働組合総連合の田久悟労働対策部長は、「賃金の確保や月給制度の導入などの改善策を同時に進めないと、若い人が入らず、人手不足は深刻になる」と指摘する。

ただ、賃金の増額は建築費の上昇につながる。ここ数年の人手不足に伴う労務費の高騰分は、官民とも発注金額に反映させてきたが、一層のコスト増を発注者側がどれだけ許容するかは未知数。大手デベロッパーからは「現場の生産性を上げる工法の開発なども含め、ゼネコンの出方次第」(幹部)との声も上がる。

長時間労働の是正で、現場の労働者の処遇が悪化する事態となっては本末転倒だ。技能労働者の賃金確保と工期設定のあり方をめぐっては、発注者との慎重な調整が求められる。建設業界は山積する課題を前に、悠長に構えてはいられない。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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