「日本株は下がりにくい」と考える明確な理由 円高圧力は消えないが、意外にしぶとい?

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ここにきて、米国の自動車販売の減速懸念が再び浮上してきましたが、トヨタ自動車のチャートを見ると、下げすぎた反面、トランプショック時(昨年11月9日)の水準までほぼ到達したようです。年初からいちばん下げた不動産の筆頭格である、三菱地所のチャートを見ても同じことが言えます。両社を見て何が言えるかというと、上昇が始まったスタート地点に戻ったことで、自動車株と不動産株は再び上昇が始まる可能性が高いということです。もっと踏み込むと、円高方向へも当面ストップがかかると読むことも可能です。

「モミ合い相場」はどこまで続くのか

残念ながら現在の日経平均株価は1万9000円を割り込んでしまいましたが、現時点では依然、昨年12月以降のモミ合い相場が続いている、という見方になります。モミ合い相場というのは同じ水準の高値と安値を繰り返す値動きです。短期的には下振れリスクが依然として残っている状況なのですが、現時点では急落といった事態は免れています。

下値では日銀によるETF買いが入るから、といってしまえば簡単かもしれません。筆者は、米国のジョン・ボリンジャー氏が考案した「ボリンジャーバンド」という世界的に有名なテクニカル指標で株価の予測をすることも多いのですが、このボリンジャーバンドで日経平均を見ると、「下限のフシ」といわれるところが、株価を支える形で機能しているようにみえます。

そもそも、ボリンジャーバンドというのは、「相場はある期間の平均値から大きく離れた水準には長くはとどまらない」と考えることを基本としています。株価や為替などの相場で自律反発を狙う水準を判断するときや、時には上昇や下落トレンドの波に乗るタイミングを教えてくれることもあります。

昨年12月以降のモミ合い相場も、実は、ボリンジャーバンドの上限と下限の間で動いています。口で言うのは簡単なのですが、上限付近で売って、下限付近で買っていれば、方向感のないモミ合い相場でもうまく売買できていたかもしれません。現在の日経平均株価はボリンジャーバンドの下限付近で推移しています。もし、代表的な銘柄であるトヨタ自動車や三菱地所などが下げ止まるのであれば、ボリンジャーバンドを物差しにすると、日経平均は自律反発するのではないかと思います。

さて5月20日(土)、私が所属している非営利の団体・日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)では「テクニカル分析について学びたい」という読者の方々のために、セミナーを福岡・博多で開催いたします。講師はなんと、先述のジョン・ボリンジャー氏です(今秋は東京・大阪でも開催予定)。もちろん、日本語の通訳もつきます。

ボリンジャー氏が自ら開発した「武器」を使って日本株を分析すると、どのように映るのでしょうか? 今後は上昇でしょうか、それとも下落でしょうか。ご興味のある方は、NTAAのHPから、ぜひお申し込みください。 

東野 幸利 国際テクニカルアナリスト

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ひがしの ゆきとし / Yukitoshi Higashino

DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部長。証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)教育委員、日本テクニカルアナリスト協会理事なども務める。
 

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