しかし、結果はご覧のとおり。身内の共和党が議会の多数党であるにもかかわらず、ディールをまとめあげることができなかった。このままでは、トランプ大統領が求心力を失うのは避けられない。
それだけではない。トランプ政権は、大きなスキャンダルに見舞われている。昨年の大統領選挙期間中に、トランプ陣営がロシア政府の関係者と共謀していたという疑惑である。このまま、政策面でみるべき成果があがらないようだと、ますます話題はスキャンダルに集中してしまう。
「税制改革はずっとシンプル」
では、トランプ政権に「打てる手」はあるのだろうか。
「(オバマケアと違い)税制改革は、ずっとシンプルだよ」
数時間後にオバマケア代替法案の採決が見送られることになる3月24日の朝、筆者がワシントンで聴講したメディアとの公開懇談会で、スティーブン・ムニューシン財務長官はこともなげに述べてみせた。
再起を期すトランプ政権が目指すのは、税制改革による大型減税の実現だ。
所得税と法人税の双方を対象にした大型減税は、トランプ大統領の公約の目玉である。改革実現の時期についてムニューシン長官は、「8月に議会が休会入りする前までに」という当初の目標は変更せず、遅れた場合でも秋までには立法作業を終えると発言。所得税と法人税の減税を切り分けて議会審議をやりやすくするといった戦略を否定し、あくまでも包括的な大型減税を進める意向を明らかにするなど、強気の姿勢を崩さなかった。
確かに税制改革は、オバマケアとは性格が違う。目的が明確な分、議論は進めやすいはずだ。
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