日本は有望市場、M&Aに頼らずとも自力成長できる--J・ヴァンサン ダノングループ副会長

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日本は有望市場、M&Aに頼らずとも自力成長できる--J・ヴァンサン ダノングループ副会長

フランスの食品会社ダノングループは、チルド乳製品で世界首位、「エビアン」や「ボルヴィック」で知られるボトル入り飲料水市場では世界2位のシェアを誇る。現在120カ国以上で展開する、グローバルな巨大食品企業だ。少子高齢化で「胃袋縮小」が進む日本市場での戦略と、今後のM&Aの可能性などについて、同社ナンバー2のヴァンサン氏に聞いた。

--日本ではヨーグルトで有名ですが、ダノングループとはどんな会社でしょうか。

ダノングループの07年度の売上高は127億ユーロ、前年度比伸長率は6%でした。売り上げの55%を占めるのがヨーグルトなどの乳製品。次に「エビアン」や「ボルヴィック」などのミネラルウォーターが23%、乳児用食品が17%、医療用栄養食品が5%という構成です。この中で利益率が最も高いのは、昨年11月に買収した医療用栄養食品。将来的にこの分野を拡大させたいと考えています。「消費者の健康に貢献する」という理念が当社の柱です。

--日本の食品業界では今、原料高騰による値上げがホットイシューです。

たしかに、麦やトウモロコシ、そして包装材などの価格はこの1年で高騰しました。なかでも、原料乳価は30%も上昇したのです。こうした状況下で採算を確保するには、第1に生産ロスを少なくすること。第2にボトルなどの包装材を軽量化すること。第3に値上げすることが考えられます。ダノンの場合も一部で値上げに踏み切りましたが、製品群の大部分が高付加価値製品のため、値上げをしても影響が出たのは一部の国だけ。“ダノンブランド”が浸透していれば、売り上げが大きく減少することはありません。

--日本市場に対する印象は。

日本とのつきあいは早15年にもなりますが、日本の消費者は世界中で最も要求水準が高い。常に完璧であることが求められます。それと、天然に近いものを求める傾向が強い。ハイクオリティの製品群を持つわれわれにとって、日本人のこうした特性は追い風です。日本特有の傾向としては、「味」と「機能」のバランスが取れたものを要求する。どんなにおいしくても健康に悪ければダメ。逆に、機能は優れていてもおいしくなかったら売れない。両方のバランスを取らないと、受け入れられない。

--現在、日本ではヤクルト本社に20%出資する筆頭株主です。ダノングループの今後のM&A戦略について教えてください。

M&A対象の条件としては、第1に会社のミッションに共通性があるということです。たとえば、ヤクルト本社に出資したのは、同社のミッションがダノングループのそれと似通っていたからです。ヤクルトは、創業者の代田稔博士が戦前にL.カゼイ・シロタ株を開発し、健康を広めようという目的を持って創業しました。われわれは2000年頃から同社に興味を持ち始め、03年から対話を始めました。当時すでにヤクルト本社は日本だけでなく20カ国で展開しており、世界に健康を広めるという目的を「有言実行」していました。買収の条件は第一に、「人々の健康に貢献する」という理念に対してイエスであるかどうかです。

--ほかにも条件があるのでしょうか。

第2に重視するのは、買収先の製品群です。科学技術的な裏付けがあっての製品かどうかです。臨床試験のデータがあるかどうかで、価格にも影響が出ます。第3に、それらの製品がおいしいかどうか。第4に、製品そのものに収益性があるかどうかです。十分な収益性がないと、消費者に訴求できない。そうしないと、「健康に貢献する」というミッションを果たせないですからね。

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