サイパンとグアム、日本人が消えた楽園の今

安売りしすぎたリゾートは復活できるか

その結果、起きたのがツアー価格の上昇だ。現在、大手旅行会社のサイパンやグアム行きパッケージツアーを見ると、販売価格は6万~7万円ほど。「10年ほど前には、旅行会社の目玉商品として、2万9800円で販売していた。安近短の印象が強烈に残っており、(6万〜7万という)価格の訴求が難しい」(旅行業界関係者)。

安売り合戦の果てに、航空会社が路線を撤退・縮小、ツアーの値段が上がり、露出が減ったことで、日本からの旅行者数が減り続ける…。グアム、サイパンはこうした"負の循環"に陥っている。

日本人が減って、韓国と中国人が増えた

だが、現地には悲壮感は見られない。日本人の観光客は激減したが、韓国のLCC(低価格航空会社)や中国の航空会社が路線を開設し、地域全体の観光客数としては増加傾向にある。2016年のサイパンを含むマリアナ3島では53万人、グアムは153万人が訪れ、いずれも過去最高を記録した。

サイパンでは、2013年までは日本人がトップだったが、2014年は中国と韓国に首位を明け渡し、その差は開くばかり。グアムの場合、2016年に日本人の旅行者数は74万人とトップだったが、韓国人の旅行者数は毎年2ケタ増が続き、54万人まで増えた。数年以内には日本を上回る可能性が高い。

実際、グアムでホテルを運営する、ケン不動産リースの長嶋央典営業本部長は「日本と韓国人の観光客、米国軍人をうまく取り込み、2009~2010年以降、ホテルビジネスは右肩上がりの成長が続いている」と話す。

同社は日本の不動産賃貸会社ケン・コーポレーションのグループ会社。グアムでニッコーやハイアットリージェンシー、ヒルトンなど有名ブランドのホテル5軒を所有・運営し、現地でのシェアは3割強と最大手だ。

ケン不動産リースは、ホテルニッコーグアムとロッテホテルグアムの間に2019年に高級ホテルを開業する計画を立てる。画像はイメージ図(画像:ケン不動産リース)

事業が好調なことから、同社は100億円以上の資金を投じ、340室のホテルを建設中だ。ブランド名は未定だが、結婚式場やレストランを備えた高級ホテルを2019年までにオープンさせる計画を立てる。

「グアムは日本人に愛されてきた観光地。現地の魅力が薄れたのではなく、航空会社が要因。投資している人間としては悔しい思いをしており、日本人には戻ってきて欲しい」(長嶋営業本部長)

対照的なのがハワイだ。同じく1997年の221万人をピークに、リーマンショック後の2008年には117万人まで減少。現在は約150万人程度の水準にまで戻した。旅行業界関係者によると「ホノルルがあるオアフ島以外にも、ハワイ島のキラウエア火山など従来と異なる視点をアピールすることができたことが大きい」という。

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