ガソリン暴騰で加速! エコカー競争の熾烈
電気自動車に燃料電池車 乱立模様で本命見えず
だが自動車業界の技術進歩は目まぐるしい。「ハイブリッド車vs.クリーンディーゼル車」の構図が鮮明化する中、早くも先を見据えた新たな展開がうごめいている。
長く再建中だった三菱自動車が仕掛けるのは、次世代のエコカー「電気自動車」だ。ハイブリッド車がガソリンと電気の混合なら、100%電気で走行するのが電気自動車。三菱自は09年にも軽自動車をベースにした「iMiEV」を投入。ユアサ・コーポレーションや三菱商事と合弁会社を設立し、小型で大容量のリチウムイオン電池を量産するなど、巻き返しに余念がない。
実用化も徐々にだが進んできた。三菱自や富士重工業はイオンと組み、今秋開業するレイクタウンSC(埼玉県越谷市)の駐車場に、電気自動車用の充電スタンドを設置。通常は充電に7~8時間かかるが、数十分で充電できる急速充電器を備える。電気自動車については日産も10年に投入、12年には量産態勢に入り、「世界のリーダーになる」(カルロス・ゴーン社長)意気込みだ。
もっとも電気自動車については、各社のスタンスが微妙に異なるのも事実。トヨタは電気自動車を市街地の近距離走行に適した小型車に絞る。ホンダになると、電気は2輪車に限定と、かなり慎重だ。むしろホンダは電気自動車のさらにその先、「燃料電池車」の時代を見据えている。
水素を使う次々世代の燃料電池車は、排出されるのが水だけという究極のエコカーである。1回の水素充填は3分程度で済み、600キロメートル以上の走行が可能だが、1台数千万円ものコストに加え、水素スタンドなどインフラが未整備、という問題点が解決していない。今年は開発競争を演じるトヨタとホンダが共に2代目の車種を投入。特にホンダは「FCXクラリティ」を7月に米国で先行販売し、「普及は20年以降」とされる長期戦を今から争う構えだ。
まだまだ乱立模様で、“本命”の見えないエコカー戦争。終わりなきガソリン高を前に、各社の戦いはますます過熱する一方である。
(週刊東洋経済)
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