ガソリン暴騰で加速! エコカー競争の熾烈

もはや1リットル180円台に達してしまったガソリン価格。それと比例するかのように目下、急速に売れ行きを伸ばしているクルマがある。ご存じトヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」だ。

日本自動車販売協会連合会によると、5月の登録車(普通車)の販売ランキングでプリウスは第6位。今年1月からずっと前年同月比で2ケタ増を続け、5月も23%増だった。2009年にも新たなハイブリッド専用車投入が見込まれるトヨタで、モデル末期の現行プリウス(2代目)がこれだけ売れるのは異例だろう。

ガソリンエンジンと電気モーターを併用する「ハイブリッド車」のプリウス。その燃費は1リットル当たり35・5キロメートルである。排気量1500ccで比べると、同じトヨタの「アリオン」は18キロメートルしかない。1リットルのガソリンで走行距離が倍違うのだ。

初代プリウスが投入されたのは1997年のこと。燃費のよさがクルマを選ぶ基準になったのは、プリウスが契機だったとされる。以来、トヨタではハイブリッド車全体で07年に累計100万台を売り切り、「10年代の早いうちには年間で100万台を売る」(渡辺捷昭社長)計画だ。10年までには家庭用電源から充電できる「プラグイン・ハイブリッド車」も投入、「まず普及させることが環境に貢献する」(幹部)と、あくまで実現可能なアプローチで臨むのは堅実なトヨタらしい。

ディーゼル初投入の日産 先行トヨタに各社挽回

 自動車が温暖化ガスの排出に占める割合は大きい。環境省によれば、国内におけるCO2の部門別排出量(06年度)は、エネルギー転換や産業部門に次ぎ、運輸部門の比率は19%で第3位。こうした環境面に加え、昨今の原油高騰がユーザーの低燃費志向を後押ししている。

一般に自動車メーカーの環境対応としては、既存のガソリンエンジンの燃費向上が命題である。それ以外に各社は、ハイブリッドやディーゼルなど、異なるパワートレイン(動力伝達装置)を開発し、多様なエコカーを模索してきたのが実態だ。

ただハイブリッド車の値段は200万円以上。ガソリン車に比べ、燃費がたとえ5割安くても、車両価格が50万円近く高いことが、課題とされてきた。それが最近の異常な原油高で、年平均のガソリン代が10万円台に達すると、もはやクルマの価格差は5年以内に吸収できる計算だ。この分野では今までトヨタが独走してきたが、ホンダが09年に「100万円台の低価格ハイブリッド車を投入する」(福井威夫社長)と、いよいよ本格戦線に割って入る。

もっとも08年に入って、エコカーの主役は、ハイブリッド車ばかりといえなくなってきた。

 その対抗馬で現在最有力なのがディーゼル車だ。今年9月、国内初のクリーンディーゼル乗用車を投入するのが、日産自動車である。欧州で先行投入したSUV(スポーツ多目的車)の「エクストレイル」を、当初より2年前倒しすると発表した。

ディーゼル車は元来、ガソリン車より燃費がよくてCO2排出が少ない反面、NOx(窒素酸化物)など有害物質が問題視されてきた。そのため日本では負のイメージが強く、市場は商用車に限定されたまま。対照的に、CO2の排出抑制を何より優先する欧州では、ディーゼル車が今や約5割まで普及している。

そこで日産は仏ルノーと共同開発した「M9R」をベースに、新たな触媒技術で有害物質を除去できる、低公害型の「クリーンディーゼル乗用車」を開発した、というわけだ。

日産の場合、環境技術で出遅れたとの評価を気にしてか、特に「クリーンディーゼル車には相当懸けていた」(業界筋)とされる。今秋店頭に並ぶエクストレイルは当面、マニュアル車のみ。それでもあえて“一番乗り”を獲りに行った。

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