相鉄「深夜の切り替え作業」で何が変わる? 時間との闘い!高架化作業を密着取材
今回の高架化は、横浜市が主体となって進める「相模鉄道本線(星川駅~天王町駅)連続立体交差事業」と呼ばれる都市計画事業だ。同区間内には9カ所の踏切があり、周辺が保土ヶ谷区の中心部であることから交通量も多いものの、いずれもピーク時1時間に40分以上閉鎖される「開かずの踏切」であることから、この解消を目的として2002年度に始まった。
当初の完成予定は2012年度だったが、用地取得の遅れや「環境に配慮した工法の工夫や、安全対策での追加工事など」(横浜市道路局)により、2011年度に目標を2018年度に延期。事業費も当初の379億円から、バリアフリー対応の強化や環境対策、さらに東日本大震災後の人件費や資材高騰などにより、今年2月の段階では約550億円へ膨らんだ。さまざまな課題があったものの、約14年半の歳月を経て、ついに下り線の高架化という大きな節目を迎えたわけだ。
「一番列車が走れば終わり」ではない
5日の始発から下りホームが高架に切り替わる星川駅。5時13分過ぎ、「業務連絡、天王町発車です」との放送が入るとともに電車の接近を知らせるメロディが真新しい高架ホームに鳴り響き、17分、警笛の音とともに試運転列車が姿を現した。
高架ホームに入線した記念すべき初の列車だが「お祭りムード」はなく、ホーム上の関係者らは案内放送の音量や停車位置などの確認に余念がない。数分後には、一般客を乗せた始発列車がやってくるのだ。
そして5時25分。相鉄最新のカラーリングであるネイビーブルーの塗装をまとった始発電車が、高架線の初乗りを楽しむ地域住民や鉄道ファンらを満載して無事ホームに滑り込んだ。
先頭部にはカメラやスマートフォンを車窓に向ける大勢の人々。だが、関係者はここで気を緩めることはない。「システムがちゃんと稼働しているのかどうか、軌道関係ではバラストの部分で線路が沈んだり動いたりといった変動があるかないかなどを確認しないといけません」と矢島所長。一番列車が無事走ったからといって、工事に携わる人々にとっては単純に「万歳三唱」とはいかないのだ。
終電から始発まで、約5時間という限られた時間内で行なわれた線路切り替え工事。今回の相鉄線はもちろん、全国各地の鉄道工事でこういった作業が人知れず行われている。電車に乗って通りすぎる乗客からすれば、一夜のうちにあっさりと切り替わったように見えても、その影にはさまざまな工夫や入念な準備、そして関係者の苦労が隠れているのだ。
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