「オバマケア」が機能不全に陥っている理由

これは理想的な国民皆保険ではない

保険料高騰の理由はほかにもある。オバマ前大統領の公約では、すでに加入済みの保険に満足している人は、オバマケア導入後に保険を変える必要がないことが明言されていた。また導入後、米国民の保険料は、平均年間で2500ドル下がるとも言われていた。しかし、オバマケアには「満たさねばならない条件」が10項目あり、出産・産後ケアや薬物中毒者らへのメンタルカウンセリング、小児医療など人によっては不必要なものが含まれる。

それによって保険の値段は一律に上昇。「加入済みの保険を変える必要はない」としていたはずなのに、結局条件に満たない保険は次々にプラン廃止がなされてしまい、結果的に以前よりずっと高い保険(しかもほぼ使わない不要な医療カバー付き)に入らざるをえなくなってしまったという人が大勢いるのだ。保険会社にしても支払いが膨大になり、「オバマケア事業からは撤退する」という会社も後を絶たない。

当事者になって気付いたオバマケアの致命的欠陥

こうした欠陥を抱えるオバマケアによって、人生の希望を打ち壊されたのが、ニューヨークに住む50代半ばの黒人男性のAさんだ。妻と子どもが1人いて、幸せに暮らしていた中産階級であり、熱心なオバマおよび民主党支持者だった。

当然、オバマケアについても「国民保険がなかった国にそれをもたらすことは、平等で非常にすばらしい」と支持していたが、昨年大病をしてしまったことで人生が大きく変わってしまった。今は病気も回復し仕事にも復帰したが、病気になったことが引き金となり、家を手放し、車を手放し、長年連れ添った妻とは離婚してしまったという。それらはすべて高額な医療費のせいだ。

「命は残ったけれど、何もなくなってしまった」と彼は言う。「オバマケアを支持していたけれど、この制度の致命的な欠陥には自分が病気になり、“当事者”になるまでは気づくことができなかった。医療費を先払いするために、家も車も売ったが、それでもおカネが足りなかった。しかも手続きをして請求した治療費の一部は、保険適応外と言われた。自分が支持した大統領や政党に、裏切られた気持ちだ」

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