庶民派シュルツ氏、メルケル首相に勝てるか ドイツ社会民主党の首相候補は何者?
保守派は、シュルツ氏の欧州議会での実績を批判する姿勢を明らかにしている。
欧州議会議長の座にあった2014年末、ユンケル欧州委員長が18年にわたって首相を務めていた当時のルクセンブルクにおける税優遇措置について、欧州議会がどこまで厳しく調査を行うべきかという論争が発生し、シュルツ氏もこれに巻き込まれた。問題の税優遇措置には、アマゾンとフィアットに有利な措置が含まれていた。
200人近い欧州議会議員がこの問題の調査のため調査委員会の設置を求めていたが、シュルツ氏は、より権限の小さい特別委員会で処理する方向に議会を導いた。
これに対し、ユンケル氏が苦境に陥らないようシュルツ氏が手助けしたと解釈する批判があった。欧州委員会は、ユンケル氏は欧州議会に協力的であり、何も隠していないと述べている。シュルツ氏の広報担当者は、彼は調査委員会を妨害しておらず、そのような権限もなかったはずだと述べた。
メルケル首相が率いる保守派は、シュルツ氏の欧州議会時代の記録を掘り起こす資料をまとめている。ロイターがこの資料を閲覧したところ、他にも類似した批判が見られた。
シュルツ氏が、政治的に中立であるべき欧州議会議長としての立場と、2014年の欧州議会選挙における社会民主党の主力候補としての立場を適切に分離していなかったという批判もある。シュルツ氏の広報担当者はこれに対し、欧州議会選挙における行為は「欧州議会により徹底的に検証されているが、何の異議も出なかった」と述べている。
トルコのEU加入を支持する姿勢
政策面では、シュルツ氏がユーロ圏諸国の債務をいわゆる「ユーロ債」にまとめるべきだと提唱していることや、トルコのEU加入への支持姿勢を保守派は批判している。どちらもドイツでは不人気の政策だ。
「一時の熱が収まれば、彼が実際にどのような立場を代表しているかを人々は理解しようとするだろう。そうすれば正体が分かる」。メルケル首相に近い保守派の古参政治家は、保守派によるシュルツ氏批判の計画を説明しつつ、匿名を条件にそう語った。
とはいえ、シュルツ氏と彼のチームは動じることなく政権獲得の構想を練っている。SPDは数回にわたり、緑の党や左派党とのあいだで、左派連立政権の結成について予備的な協議を重ねている。
これら3党は、選挙期間中に相互の批判を控えることを協議している。規模に劣る2党は、シュルツ氏人気の波及効果を得たい考えだ。
「シュルツ氏によって、SPDは現実味のある首相候補を得られた」と語るのは、独議会で左派党議員団を率いるディートマル・バルチュ氏だ。「政権交代は可能だ」
(翻訳:エァクレーレン)
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