成長ベンチャーが日本経済を発展させていく 第3回ベンチャー大賞を受賞したのは?

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日本ベンチャー大賞表彰式

第3回「日本ベンチャー大賞」の受賞企業は?

内閣総理大臣賞: サイバーダイン

サイバーダインは、身体機能を改善・補助・拡張・再生する世界初のサイボーグ型ロボット「ロボットスーツHAL®」を開発。このHALは、体が思うように動かせなくなる神経・筋難病や脊髄損傷や脳卒中などの患者に、機能改善・機能再生治療(サイバニクス治療)を提供し、再び自分の意思で体を動かせるようにする、「夢のロボットスーツ」です。

2013年に欧州全域を対象に、世界初のロボット治療機器として医療機器の認証取得を実現し、2015年には国内で新医療機器として薬事承認、2016年から医療保険が適用された治療が始まっています。医療保険制度という社会システムにロボットが組み込まれる端緒を創出。HALのインパクトで、医療・介護の現場の変革が大いに進んでいます。

また、重いものを運ぶ際に腰にかかる負荷を低減する「HAL®作業支援用(腰タイプ)」も実用化。介護施設での移乗介助(ベッドから車いすなどへの移動のサポート)、空港のバスターミナルでの荷物の積み卸し作業、建設現場での材料運搬作業などでの導入が進んでいます。医療分野から介護や産業分野、日常の生活支援へと、HALの活躍エリアが拡大しはじめています。

サイバーダインは2014年に東証マザーズに上場。日本初の議決権種類株式の上場でも話題となりましたが、マーケットの信任を得て、現在、資本金は267億円、時価総額3800億円を超える企業に成長しています。

山海嘉之社長は、少年時代にSF小説や石ノ森章太郎氏の『サイボーグ009』でロボットに出会い、筑波大学で工学博士号を取得した後、1991年からHALの基礎研究開発を開始。2004年にサイバーダイン社を立ち上げてからは会社経営もリード。革新技術の創生、新産業の創出、人材育成を同時展開するために、研究者と経営者の二足のわらじで事業を推進しています。社会課題の解決を目指し、研究開発から社会実装までをやり抜く山海社長の行動モデルは、ハーバードビジネススクールをはじめ米国の複数の経営大学院のカリキュラムで取り上げられるまでになっています。

山海社長は、実践している理念先行型の経営について、「医学や工学などの科学技術は人や社会に役立ってこそ意義がある。人・ロボット・情報系を融合複合した新領域である『サイバニクス』を駆使した革新技術で、社会課題の解決を図り、人とテクノロジーが共生する、『あるべき姿の未来社会Society5.0』の実現をしたい」と語ります。

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