英国の3月EU離脱通告で金融機関が動き出す

フランクフルトやパリには追い風となるのか

2月に英国政府が公表した「離脱白書」には、メイ首相が1月のランカスターハウスでの演説で述べた「英国にとって悪い協定であれば、協定なしのほうが良い」と、「無秩序な離脱」への覚悟も明記されている。

これまでに訪問した3都市では「秩序立った離脱」は可能という見方が支配的だった。だが、英国、EUともに政治判断が優先されやすい環境にある。「無秩序な離脱」はありえないと楽観はできない。

金融機関の英国からの離脱は今夏までに具体化

金融業は、EU離脱の協議開始に伴う不確実性の高まりに、最も敏感に反応すると見られている。英国が単一市場から離脱する方針を固めたことで、EU域内に自由にサービスを提供できる金融サービスのシングル・パスポートも喪失する見通しとなったからだ。金融業は、法律・会計事務所、コンサルティング会社などの専門サービスとともに英国のGDP(国内総生産)の3割を占める主力産業であり、金融機関の選択が英国経済に及ぼす影響は潜在的に大きい。

英国政府は「離脱白書」でEUとのFTAで、金融サービス分野では「可能な限り自由な取引」を目指す方針を掲げる。白書では詳細に踏み込んでいないが、英金融サービス部門のロビー団体である「ザ・シティUK」が要望するEU単一市場と英国市場のアクセスを相互に認め、規制・監督面では協調体制をとる「特別な相互優遇措置」を交渉するのだろう。ただ、こうした交渉を離脱までの2年間でまとめられないことは明白だ。「ザ・シティUK」は、離脱後、新協定で合意するまでの「つなぎ期間」と新協定を段階的に導入する「導入期間」の2段階からなる十分な移行期間を設けることを要望している。

こうした英国側の要望が、どこまで受け入れられるか定かではないが、金融機関の英国からの離脱は、この春から夏にかけて具体化してくるという。英国の離脱後も、EU域内に継続的にサービスを提供する体制を確保するために新たに拠点を設立する場合には、申請から認可までに1年から1年半程度の時間が掛かる。2019年3月の離脱に備えるのであれば、この夏が、意思決定のぎりぎりのタイミングとなる。

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