弾けた「水素水バブル」、日本トリムの言い分 国民生活センターの報道発表が大打撃

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この点については国民生活センターも、日本トリムの製品が「管理医療機器として認証されている」と認めている。問題にしているのは「医療機器について認証を受けていない効能・効果をうたうこと」(担当者)だ。

日本トリムのホームページには「抗酸化性のある水素がたっぷり」と胃腸症状の改善以外の効果・効能をうたっているとみられる表現がいまだに残っている

同センターは調査当時、日本トリムのホームページに「(還元性のある水を飲むと)胃腸症状の改善以外にも様々な効果が期待できます。(中略)還元性、つまり抗酸化性がある電解水素水は(中略)様々な疾病の原因といわれている活性酸素を抑制することが国際学術誌で発表されています」との記載があったことを問題視。これが「医薬品医療機器等法や健康増進法、景品表示法に抵触するおそれ」に該当するというわけだ。

日本トリムの田原氏は同記述について「あくまで研究中の話であり、販売サイト上で顧客を誘導しているわけでもない。誤解を避けるために報道発表前には記述の内容を修正している」と話す。両者の溝は一向に埋まらないままだ。

パナソニックや伊藤園も水素水

今回のテストではパナソニックや伊藤園といった大企業の製品も対象となっている。生成器が対象となったパナソニックは、東洋経済の取材に対し、「国民生活センターの調査において、当社の生成器の水素濃度は本体の液晶表示と同程度という評価結果だった。製品カタログやホームページでは水素水の効能をうたう表示もしていない」とする。アルミボトルの「水素水H2」(税込み購入単価199円)がテスト対象となった伊藤園は「商品の販売をやめるということはない。商品に正確な情報を記載するほか、ホームページなどでも情報を充実させていきたい」と回答した。

日本トリムの業績は当面伸び悩みそうだ。「いまだに販売状況が戻らない。急いでPR戦略の見直しを進めている」(田原氏)。同社は2016年4月に中国の病院運営事業に参入すると発表し、「家庭用整水器事業の中国での飛躍的拡大」(リリース原文)を目指しているが、国内でつまずけば今後の海外展開にも支障が出かねない。

そもそも水素水ビジネスを問題視する向きもある。科学ジャーナリストの松永和紀氏は、水素水について「人における効果を確認した研究が非常に少なく、研究の信頼性も低い。『健康効果あり』とは今のところはいえない」と指摘する。「独立行政法人国立健康・栄養研究所のデータベースでも、水素水は『ヒトに対する有効性については信頼できる十分なデータが見当たらない』とされている。消費者は注意深くなったほうがいい」(同氏)。

「水素水バブル」がはじけた今、各社は新たな戦略を打ち出す必要に迫られている。

二階堂 遼馬 東洋経済 記者

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にかいどう りょうま / Ryoma Nikaido

解説部記者。米国を中心にマクロの政治・経済をカバー。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

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