(上)アデランスHDは岡本社長と2人の創業者が退任、引き続きスティールの出方に注目
アデランスホールディングス(HD)は、8月9日に開催予定の臨時株主総会に提案する取締役候補者7人を決定した。岡本孝善社長は退任し、1985年に買収した子会社フォンテーヌの社長を務める早川清氏がHDの社長を兼務する。同社は、筆頭株主の米投資ファンド、スティール・パートナーズなどの反対により、5月29日の定時株主総会で岡本社長をはじめとする7人の取締役の再任が否決されたため、この7人を含む11人の取締役で暫定的に経営に当たってきた(うち2人は定時総会で選任された社外取締役)。
今回、退任するのは、もともと5月29日に退任予定だった2人のほか、定時総会で再任が否決された7人のうち、岡本社長と創業者である根本信男、大北春男の両氏。一方、否決された7人のうちの4人(うち1人は社外取締役)と、フォンテーヌ社長の早川氏、さらにスティールが推薦する同社パートナーのジョシュア・シェクター氏と相原宏徳・元米国三菱商事社長(ともに社外取締役)の計7人が取締役候補者となる。
7人の候補者については、スティールが賛成しているほか、第2位株主の米投資顧問、ドッチ・アンド・コックスも同意しているとされ、臨時総会で承認されるのは確実。スティールが株を持つ日本企業に取締役を出すのは初めてとなる。この7人に加え、5月の定時総会で選任されている2人の社外取締役を加えた9人が新経営陣となるが、9人のうち過半数の5人が社外取締役、という体制だ。
5月29日の定時総会で取締役7人の再任が否決された後、アデランスは水面下でスティールと激しい交渉を繰り広げてきた。6月12日には、スティールが10人の取締役候補者を株主提案として提出してきたとされる。これに対しアデランス側は、スティールの推す社外取締役2人を受け入れる代わりに、当初は続投の意思を見せていた岡本社長のほか、2人の創業者が退任し、これまでHDの取締役でなかった早川氏を社長にする案を打診。経営陣の総退陣を要求していたスティール側も、経営に加えて営業現場の混乱が長引くことを懸念して、賛成せざるをえなかったようだ。アデランスは「社長と創業者2人の“クビ”を差し出すことで、何とか折り合いを付けた」(関係者)と言える。(この項続く)
【柿沼 茂喜記者】
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
連本2008.02 74,998 4,066 4,407 590
連本2009.02予 79,000 5,400 5,800 2,300
連本2010.02予 83,000 6,400 6,800 2,700
連中2007.08 36,296 461 865 -568
連中2008.08予 38,600 1,700 1,900 300
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1株益¥ 1株配¥
連本2008.02 15.3 80
連本2009.02予 59.4 30
連本2010.02予 69.7 30-32
連中2007.08 -14.7 30
連中2008.08予 7.7 15
(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部
撮影:今井康一
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