「万引犯の疑い」顔公開は何がマズかったか 私刑や実力行使は法で認められていない

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他方、現代においてはインターネット上に載ってしまうと、その拡散力の大きさから情報がコントロール不能に陥ることも考えられます。実際に犯行に及んだ者であっても、戒めとして過剰ではないかという意見もあります。冤罪であれば、より取り返しがつきません。インターネットに載らず店内だけの掲示に限られるとしても、コンビニエンスストアのような店舗は、自宅や職場等掲示された人の生活圏内ではないかと考えられます。

そのような場所で、万引犯として掲示されることは、自分のことを知る人に万引犯として認識されるなど非常にデメリットが大きいと考えられます。

この問題について、以下では法的に整理してみたいと思います。

私刑は禁じられている

(2)適正手続き、自力救済の禁止

憲法31条は、法律の定める手続きによらなければ刑罰を科すことはできないと定めており、人に刑罰を科すには法の手続きにのっとって捜査や裁判を経なければならず、私刑(刑事手続きをとおさない私的な制裁)は禁じられています。被害者らによる報復(私刑)を許してしまうと、いわゆるあだ討ちが横行するなど際限なく事件が連鎖しかねず、治安が悪化することが懸念されるからです。

また、法律上自分に正当な権利があったとしても、法的手続きを取らずに自分で実力行使をすること(自力救済)は禁止されています(例外が認められる余地はありますが)。

そのため、万引被害を受けた店舗が、後日、自らの手で犯人を捕まえ(私人による現行犯逮捕は許されます)、その犯人から、任意ではなく、強制的に被害物品やおカネを回収することで被害回復を行うことは違法となります。この場合、お店は犯人を特定することができたならば、法の手続きにのっとって、刑事については警察に通報して告訴状を提出するなどすべきであり、民事については裁判所へ民事裁判を提起するなどすべきです。

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