「ねじれ解消」で問われる首相の実行力 参院選で自公が過半数獲得

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「岩盤規制」改革に踏み込めるか

日銀の異次元緩和による円安・株高を背景に、国内景気は回復傾向を示すなど、経済面での成果が表れているうえ、野党の足並みの乱れもあり、事前の世論調査でも与党圧勝は確実視されていた。参院選での勝利は、日本経済再生へ向けて、さらなるフリーハンドが安倍首相に与えられるとの見方から、先週の外国為替市場では円安が進行する局面もあった。

アベノミクスによって実質2%・名目3%成長を目指す安倍首相は、今回の結果を追い風に、まずは「第3の矢」である成長戦略の具体化を図っていくことになる。10月に召集する臨時国会を「成長戦略実行国会」と位置付け、「産業競争力強化法」を提出、投資減税などの実現を図っていく。9月末の党役員の任期にあわせて、党役員人事と内閣改造を行うとの見方も出ている。

一方、首相は経済成長と財政再建という「二律背反」の課題についても、政治判断を迫られる。4─6月期の国内総生産(GDP)の結果や経済の先行き見通しなどもにらみつつ、2014年4月からの消費税率引き上げを決断することになる。

増税は消費を冷え込ませ、せっかく見えてきた景気回復に水を差すとの懸念も根強い。他方、消費増税は日本の財政健全化に不可欠として海外からの注目度も高く、先のG8でも「中期財政計画の策定という課題に取り組む必要がある」と注文がついている。もし引き上げ延期を打ち出せば、財政再建を約束した首相の「公約」違反と受け取られかねず、長期金利の思わぬ上昇を招くリスクも指摘されている。

麻生太郎財務相は20日、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議終了後の記者会見で、消費増税のスケジュールについて、来年4月に上げる方向で予定通りやりたいと語っている。

今後3年間は、衆院解散がない限り、大型の国政選挙がない。ねじれ解消による長期安定が政権の「緩み」となるのか、それとも安定に力を得て、民間の成長を阻害していると産業界や専門家の一部が指摘する雇用、医療、農業などいわゆる「岩盤規制」の改革まで踏み込んでいくのか、安倍政権の実行力が試される。

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