三陽商会、過去最大の赤字から復活できるか ビル売却めぐりトラブル、資産活用にも課題
「市場環境や顧客の購買行動が十分に把握できず、大きく数字を落とす結果となった」(岩田功社長)
2月14日、三陽商会が発表した2016年度(1月~12月)決算は、バーバリーブランドを失った同社の厳しい現実を露呈した。売上高は676億円と3割減。営業益は前年度65億円の黒字から84億円の大幅赤字に転落。当期純損失は113億円と過去最大の赤字となった。
苦境は2017年度も続く。前期に実施した希望退職などにより人件費は20億円減少。さらに広告宣伝費や不動産賃料など21億円削減することで赤字幅は縮小するものの、依然として30億円の営業損失を見込む。
2018年度に黒字化目標
決算発表と同時に、同社は経営再建に向けた中期計画を発表した。想定外の業績低迷によって計画の見直しを余儀なくされ、昨年10月だった公表時期を延期した経緯がある。
同日発表された中期経営計画では、2018年度に黒字化し、2019年度に営業益20億円まで回復させる目標が掲げられた。その手段として挙げたのが販路の見直しだ。「衣料品の販路別動向を見ると、過去6年間で百貨店はマイナス続き。ネット通販(EC)や専門店などに販路を広げる必要がある」と岩田社長は言う。
厳しい業績の中で、三陽商会のEC事業は成長が続いている数少ない希望だ。そこでEC事業と親和性が高い20代後半から30代向けの新ブランドの投入を予定。2016年度のEC売上高42億円から、3年後の2019年度に80億円にまで年率平均24%の成長を計画している。
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