アウディ、2代目「Q5」の妥協なき正常進化 試乗でわかったドライバーズカーの適性
目新しさはさほどないものの、例えば、ダイヤルとプッシュボタンで構成された空調スイッチ類は、最近流行のタッチパネル式などよりもはるかに直観的で操作しやすい。また、幅広のセンターコンソール上にレイアウトされたATセレクターは、その上部が平らでパーム(手のひら)レストを兼ね備えたデザインとなっており、実際、ここに手のひらを預けると、ちょうどその前側にあるマルチメディア・コントローラーのダイヤルを操作するのにピタッとはまって、すこぶる勝手がよい。
それはいかにも“走りながらデザインされた”といったおもむきの仕上がりで、見た目の奇抜さばかりを意図したような机上でのデザインとは、一線を画したものであることが明らかだ。
こうした“真の使いやすさ”を最優先させたQ5の開発コンセプトは、ステアリングホイール上に配された小さなスイッチ類からも感じ取ることが出来る。オーディオ操作など定番のものに加え、前出マルチメディア系の操作も、コンソール上のダイヤル類と同様に扱うことができる。昨今、この手の操作もタッチパネルで行わせるモデルも少なくない中で、安全性という面に関しても圧倒的に優れるのが、このアウディのロジックなのだ。
最近、アウディ各車には“ドライバーズカー”としての適性が急速に高まっているように感じられる。ドライバー本位の操作性もそれゆえであろう。見た目の質感が高く、人間工学に基づいた操作性にも秀でている最近のアウディ車のインテリアは、いろいろに凝った操作系を採用するライバル各車の中にあっても一歩抜きんでている。新しいQ5にはそんなちょっとした感動を覚えた。
まずはガソリン仕様のQ5を試す
国際試乗会が開催されたのは、カリフォルニア半島の殆ど最南端のメキシコの地。アメリカ新大統領の誕生を機に、その経済的メリットの先行きに暗雲がかかりだしたものの、このモデルを生産するのは、2016年に竣工したばかりのメキシコ新工場。そう、このQ5はアウディにとって初めてのメキシコ製になるのだ。ゆえに、メキシコでの試乗となったわけでもある。
テストドライブでは、仕様の違う2台の新型Q5が用意された。ひとつは、今回発表されたモデルの中で唯一ガソリン・エンジンを搭載した「2.0 TFSI クワトロ」。最高出力252psを発する2リッターのターボ付き直噴4気筒ユニットを、7段DCT(デュアルクラッチ)と組合せる。