東京でローストビーフラーメンが流行る理由

健康志向やSNS映えで新しい客を呼び込む

ビーストの運営企業であるイートアンドにはもともと、東京で人気の油そば店を出店しようという構想があったようだ。「30~40代の大人に食べてもらえる大人のグルメ系油そばを提供できないかと考えるなか、思いついたのがブームである肉を乗せること」(イートアンド広報担当者)。そこで赤身肉でヘルシーなローストビーフを乗せた商品が完成した。

今の時代は、もしかすると味以上に見た目が求められているのかもしれない。人気ラーメン店ではSNSにおける写真映えは重視されるポイントで、写真に撮られることを前提とし、お店づくりの際に美しく撮れるライティングを研究しているお店もある。そのお店で写真を撮ると、確かにとてもきれいに写る。味ももちろんおいしいのだが、そのお店は大繁盛している。

高価格化が止まらないラーメンの新しい流れ

3つ目は近年急増している訪日外国人観光客の取り込みを意識した点だろう。それを語るうえで欠かせないのが、ラーメン業界における「1000円の壁」だ。

心理的に1000円を超えるか超えないかは、いくらおいしくても食べ手が本当に高いと感じる可能性があり、ラーメン店主はつねにそこに悩んでいる。もともと自由度の高い料理のジャンルではあったが、やはりラーメンは「安い」食べ物としての位置づけを突破できていない。

一方、これが外国人観光客相手なら少々高い価格設定でも売れる。たとえば高田馬場の路地裏で人気の「道玄」2号店では、まるで寿司店のカウンターのような雰囲気でラーメンを味わえる。黒毛和牛が載った「チャーギュウ麺 special」は1500円もするが、連日人気のお店である。

東京スカイツリーのおひざ元、押上にある「竹末東京プレミアム」ではすべてのラーメンのチャーシューにレアな牛肉がトッピングされている。これもローストビーフだ。シンプルなラーメンで800円という価格設定だが連日観光客でにぎわっている。その証拠に食べログではラーメンには珍しく3.8点以上の評価がついている(2017年1月現在)。

最近のラーメンは高価格化が止まらず、特に地価の高い銀座周辺のお店におけるラーメンの価格は、もっとも廉価なメニューでも800円以上の値段をつけているケースが多い。1000円の壁を超えられれば、トッピングにも自由度が生まれてくる。だからこそローストビーフラーメンが生まれたともいえる。

ローストビーフラーメンは決して安くはないが、料理としての可能性を開き、女性や外国人観光客など従来の主要なターゲットとは違う顧客層をラーメン店へ呼び込む新しい流れをつくっている。

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