東京でローストビーフラーメンが流行る理由 健康志向やSNS映えで新しい客を呼び込む

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「銀座 道玄」でもローストビーフのメニューは人気だ

ローストビーフは日常食というよりは、ハレの日の料理といったイメージをもつ人も多い。現に、ローストビーフは伝統的に日曜日の午後に食べるメインディッシュとして扱われてきた。なぜ今、ラーメンのトッピングとして使われ始めたのか。私から見ると、3つのトレンドが背景にある。

赤身肉ブームの余波を受け

1つ目は、赤身肉ブームがまだまだ続いているということだ。かつては脂肪分(サシ)がたっぷり入ったいわゆる霜降り肉が絶大な人気を誇ったが、健康志向の高まりで脂身の少ない牛肉の需要がここ数年で高まった。

ラーメン界でもその余波を受けて、かつての脂がトロッととろけるようなチャーシューよりも脂身の少ない肉のトッピングが増えてきている。ローストビーフは特に脂身を感じない食べ方の1つだ。これが女性には受け入れられやすい。「ラーメンは食べたいけれど太りたくない」「胃がもたれたくない」。そんなわがままな志向に応えるメニューともいえる。

味わい方も楽しい。提供直後はレアで赤身が目立つローストビーフも、だんだん時間を追うごとに火の通り加減が変わっていく。

2つ目は、インスタグラムやフェイスブックなどのSNSにおける「写真映え」だ。一見地味になりがちなラーメンにおいて、赤い色がきれいなレアのローストビーフがトッピングとして乗っている絵柄は、思わず「おいしそう」「食べてみたい」などという共感を呼び寄せるのかもしれない。若い女性を中心に人気が高いSNSであるインスタグラムでは、それが顕著だろう。

マーケティング会社であるトレンダーズが2015年9月に実施した調査によると、インスタグラムの投稿写真を見て食べ物や飲み物を購入したことがある人はなんと4割もいるそうだ。インスタでフォローしている有名人や友人などの写真投稿によって、ローストビーフラーメンの存在を知り、口コミ的に広がっていく流れも見受けられる。

前述した「ローストビーフ油そば ビースト」の看板メニュー「ローストビーフ油そば ダブル」は、バラのように美しく広がる肉のビジュアルが思わず写真を撮らずにはいられない。

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