サロン・デュ・ショコラの一体何がスゴいのか 百貨店のチョコ催事が百貨店を「飛び出した」

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「開催月の公式サイトアクセスは、伊勢丹新宿店全体のサイトアクセスを上回ります。またSNS向けに『#サロンデュショコラ』『#チョコレート好き』『#サロショ』というハッシュタグを推奨しています」(三越伊勢丹 公式サイト担当者)

会期が近づくと、ネット上には会場の様子や、ファンの間で「戦利品」と呼ばれるチョコレートの写真が次々と投稿され、情報は広がり、人が人を呼ぶ。近年はインスタグラム、フェイスブック、ツイッターなどのSNSが一般化、テクノロジーの進化によって、人々のコミュニケーション方法は変化し、情報が口コミ的に広がる中で知名度や集客力を高めていったのだ。

「今年はお客さまをなるべくお待たせしないように、混雑状況をリアルタイムで公式ホームページ上で告知する新システムを導入します」と三越伊勢丹の秋山さんは話す。

チョコレートを作る「人」をフィーチャー

ムックとカタログ

「アナログ」的な側面もある。来場客の多くは、付箋で分厚くなったA4判サイズの『サロン・デュ・ショコラオフィシャルムック』、コンパクトなB6判サイズの「商品カタログ」を持ち歩く。

2009年から発行されている『サロン・デュ・ショコラ オフィシャルムック』は、チョコレートの「作り手」にフォーカスした公式ガイドブック。最新刊は53ブランドのショコラティエやパティシエの最新インタビューを掲載、パリのファッションフォトグラファーによるポートレートもクールで、ショコラティエがまるで俳優かスターのように映る。

「『サロン・デュ・ショコラオフィシャルムック』は参考書。真剣に作り手の思いを読み込んでもらうためのものです。そして、もう1つの定番は、ハンディサイズの商品カタログ。これは気軽に読めるガイドブックで、商品をフィーチャーしています」(秋山さん)

歴代のカタログたち

ハンディサイズの「カタログ」は伊勢丹新宿店で300円で販売されている。これまでは無料で配布されていたが、要望が多く、今年初めて販売に踏み切った。商品カタログが有料のチョコレートイベントも珍しい。

ただ、チョコレート人気とともに、毎年膨れ上がる動員数に対応する会場選び、来場客への対応は今後の課題でもある。会場には数千種類ものチョコレートが並び、連日大盛況。人込みが苦手な人ならフラフラしそうな熱気の中、紙袋を抱える人がひしめきあう。新会場となる東京国際フォーラムでは、少しでも来場客に快適に買い物を楽しんでもらうためにと、半年前から連日スタッフが来場客への誘導や対応をシミュレーションしているという。

サロン・デュ・ショコラの15回の歴史は、時代とともに移り変わる日本のバレンタインの意味、嗜好、コミュニケーションの形を映し出している。

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