茨城空港、開港7年で見せ始めた意外な健闘 北関東の「空の玄関」、活路は陸にあった

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当時の茨城空港は抜き差しならない状況にあった。2015年1月にスカイマークが経営破綻。徹底した経営のスリム化が必要なスカイマークが、茨城空港から撤退するかもしれないという観測シナリオが、航空業界でささやかれていたからだ。

茨城県にとっては「賭け」ともいえる予算投下だったが、振り返ってみれば利用客の大幅な減少やスカイマークの撤退を回避するとともに、茨城空港の存在を世に訴えるという目的は一定以上の成果を得たといっていいだろう。キャンペーンが話題になったことに伴って、茨城空港の「利点」が地元周辺に認知されたことが大きそうだ。それは常時1300台分を開放している無料駐車場を備えていることである。実際、茨城県空港対策課によると「茨城空港の利用者9割が自家用車を使っている」。

羽田空港、成田空港以外で関東の1都6県(東京都、神奈川、埼玉、千葉、茨城、群馬、栃木の各県)に空港を構えるのは茨城空港しかない(離島路線を除く)。特に北関東は鉄道網が発達した都心部に比べて「車社会」ともいえるほど、生活にマイカーが切り離せない人も少なくない。

水戸や宇都宮方面(北関東道)からは茨城空港北インターが利用できるのでスムーズに茨城空港に入れる。北関東から神戸(近畿)、札幌(北海道)、福岡(九州)、那覇(沖縄)への移動を考えたときに、羽田や成田に行くよりも近く、置きっ放しにしても駐車場代を気にしなくてもいい茨城空港を使いやすいと考えているユーザーは一定数いるのだ。筆者からみると、茨城空港は開港当初よりも北関東の利用客が使いやすい運航ダイヤに変わってきたという印象もある。

意外に知られていないのだが、ゴールデンウイークやお盆、年末年始などの繁忙期になると、茨城空港は周辺の臨時駐車場も含めて最大3100台まで収容できる。まして今の羽田空港は周辺駐車場が空前の大混雑になっており、場合によって都心部在住でも茨城空港を使ったほうがいいマイカー利用者を取り込むケースも今後ありうるだろう。

ただ、都心方面からの場合、最寄りの高速道路のインターとなる常磐自動車道の千代田石岡インターからも平常時でも30分以上の時間を要する。常磐道を降りてから時間を要する点はマイナス要素。さらに茨城空港から東京方面へ向かう場合には、首都高速(6号線)に入ってからの渋滞頻度も高いことから時間が読みにくいという弱点はある。もちろん高速料金がかかることも忘れてはならない。

国際線の課題

国際線は春秋航空の上海便のみ(写真:筆者提供)

一方で、茨城空港から発着する国際線には課題がある。年間利用者こそ2015年度に約15万人と過去最高に到達したが、開業初年度の2010年度でも約10.6万人を記録しており、国内線に比べるとその増加幅は大きくない。

実は茨城空港の国際線は就航・撤退が相次いでおり、現在は中国の春秋航空が上海便を水曜日除く毎日飛ばしており、1日最大で6往復12便の発着のみとなっている。ここ1年で見ても、エア・チャイナ、中国南方航空、Vエアがそれぞれ撤退した一方、具体的な新規就航計画は進められておらず、今後の旅客増は見込めない状況にある。羽田や成田に比べて、圧倒的に便数が少なく、利用シーンが限定されるのが要因の1つだろう。

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