ユーシンは「ワンマン社長辞任」で変われるか 経営体制刷新とヴァレオ事業立て直しがカギ

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かつてユーシンの受付には創業者で父の田邊善吉氏(右)とともに「中興の祖 田邊耕二之像」(左)が置かれていた(2007年10月、風間仁一郎撮影)

外部からの社長公募や10億円を超える高額の役員報酬など注目を集めてきた名物経営者の退場は意外にもあっさりとしたものだった――。

キーセットなど自動車の電装部品を手掛ける東証1部上場の自動車部品メーカー、ユーシンは1月10日、40年近くトップを務めてきた創業家出身の田邊耕二会長兼社長(82歳)が辞任したと発表した。

ユーシンの2016年11月期決算は、のれんなどの減損損失を計上するなどした結果、96億5900万円の最終赤字に転落し、無配となった。フランスの自動車部品メーカー、ヴァレオから2013年に買収したキーセットやドアハンドルの事業で製造時の品質が安定しなかったためだ。

2016年11月には、下請企業41社に対する下請代金総額1億4200万円あまりを不当に減額したとして、公正取引委員会から是正勧告を受けた。田邊氏の辞任は経営責任を明確にするための引責辞任とみられるが、会社側は「経営トップ自らが積極的に動き回らないといけないが、田邊氏は高齢で海外出張もできず、新経営体制に託した」と説明し、引責辞任を否定している。

決算説明会は「1936年創立以来初」

「これから我々が本気を出してガバナンス(企業統治)の体制を含めて見直せば、業績回復ができる」

専務から昇格した岡部哉慧新社長(69歳)は1月13日に開いた決算説明会の場で経営再建への強い決意をこめた。この日の決算説明会は「1936年創立のユーシンとして初めて」(会社側)ということもあり、100人近いアナリスト等が詰めかけた。

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