日本人はなぜ「加齢」への恐怖心が強いのか 未来の自分からすれば今の自分は十分若い

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野宮:アイリス・アプフェルみたいなのもいいかなって。今、95歳くらいなのかな。ブレスレットやネックレスを重ね付けしてるから、かなり重たいはず。そう考えると、個性的なキャラ美人おばあちゃんになるには体力や健康も大事だなって思います。

自分が測られるとキツイ物差しで他人を見ない

『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

スー:アンチエージングという言葉にはどう向き合っていますか? キョンキョンがアンチエージングやだって言ってましたけど、「キョンキョンだからな〜」って(笑)。

野宮:キョンキョンだからっていうのはありますよね。

スー:エージングに対してアンチにならないで済むなら、そうなりたいですよねえっていう。

野宮:「劣化」とか言うのはちょっとね。

スー:あれはよくない言葉ですよね。

野宮:実は、女性が女性に向けて言っている言葉のような気がする。タレントさんや女優さんのような表に出ているきれいな人に対して、彼女たちが歳をとっていくと「劣化」という表現を使って、溜飲を下げている気がしてあんまり好きではないです。

スー:同性同士、自分が測られるときつい物差しで他者を測るところはありますよね。でもそこに性差はあまりなくて、男女とも年齢に縛られているし、男の人は「男らしさ」に、女の人も既存の「女らしさ」に縛られている。そんなことよりも、自分の個性に対して怠慢にならず、若さに執着せず、年齢に応じて微調整しながら付き合っていくことが大事なんでしょうね。

野宮真貴さんは「野宮真貴、渋谷系を歌う。」というライブを続けている。今年はまず2月11、12日に開催予定

野宮:持っているものを活かすことが大事だと思います。自分の40代の頃を振り返ると、若さを失っていくことへの寂しさがあったから、いろいろやりすぎてしまった。でも今、あの頃の写真を見ると、十分きれいだし若いんです。ということは、今の自分もいろいろありますけど、60歳になってから振り返ると、きっと「56歳の頃はこんなスカートが着られたのね」というふうにポジティブに思うことは絶対にあると思うんです。

つまり、失っていくものにフォーカスして寂しい気持ちに支配されちゃうともったいない。未来の自分から見たら今の自分は若いんですから、今持っているものを活かして、今をいかに楽しむかがいちばん大切だと思います。私はみなさんよりちょっと先を歩いているから思うことなんですけど。

スー:タイムマシーンで5年前から戻ってきたと考えれば「あれもできるこれもできる」ってことですね。つまり、あんまり怖がらずに、歳を重ねていけるということでいいでしょうか。

野宮:そう。いいことがいっぱいあるし、私は歳をとって楽になりました。

スー:今日のまとめとしては、コンプレックスを好きになって、それを個性として磨いていくこと。今を楽しむこと。そして歳をとることを恐れない。

野宮:人生あっという間ですから、人になんと言われようとやりたいことをやっていいんじゃないかなーと思います。

スー:とにかく3年後、東京オリンピックで野宮さんが見たいんですよ。「うちの野宮真貴、ちょっと見てよ」って世界に自慢したいんです。

野宮:うれしい。頑張ります。

(構成:須永 貴子)

野宮 真貴 歌手

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のみや まき / Maki Nomiya

「ピチカート・ファイヴ」3代目ボーカリストとして、1990年代に一世を風靡した「渋谷系」ムーブメントを国内外で巻き起こし、 音楽・ファッションアイコンとなる。 2010 年に「AMPP 認定メディカル・フィトテラピスト(植物療法士)」の資格を取得。現在、音楽活動に加え、ファッションやヘルス&ビューティのプロデュース、エッセイなど多方面で活躍中。

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ジェーン・スー 作詞家、コラムニスト

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じぇーん・すー / Jane Su

1973年、東京生まれ。コラムニスト。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」、ポッドキャスト番組「ジェーン・スーと堀井美香の『OVER THE SUN』」のパーソナリティとして活躍中。著書に『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(第31回講談社エッセイ賞受賞)、『生きるとか死ぬとか父親とか』『おつかれ、今日の私。』『闘いの庭 咲く女 彼女がそこにいる理由』などがある。

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