アップルが年始に「過去最高」を記録した理由 iPhoneやiPadは販売不振だが…
アップルは発表したレポートの中で、もうひとつのビジネスモデルとなる購読型アプリに関する指摘もしている。2016年に購読型アプリからの売り上げは27億ドル(約3159億円)となり、2015年に比べて74%上昇した。
購読型アプリとは、毎月継続的に課金をしていくタイプのアプリで、これまでストリーミングサービスなど限られたアプリで採用されてきたが、2016年秋からは、ゲームやキッズなどを含む25のカテゴリーに開放され、すでに2万本のアプリが月額課金モデルを利用している。
月額課金モデルの開放に合わせて、アップルが徴収する手数料についても変更すると発表。1年以上継続しているユーザーからの手数料を通常の30%から15%に削減する。つまり、アップルとして、月額課金を開発者に奨励する措置とも取ることができる。
2016年に人気のあった購読型アプリは「Netflix」、「HBO NOW」、「MLB.com At Bat」といった映像ストリーミングに加え、「Tinder」や「LINE」といったコミュニケーション系のサービスが肩を並べた。
購読型アプリ課金は、NTTドコモがiモードで採用した公式サイトのビジネスモデルと同じであり、Google Playでは3カ月単位などより多彩なプランが用意される。Apple Musicも、購読型サービスに数えることができる。
2017年のアプリビジネスでは、この購読型サービスの成長に注目していくべきだと考えている。
App Storeが担う重大な意義とは
アップルは2016年度の通年で、15年ぶりの減収減益となった。iPhoneやiPadを含む主力製品の販売不振が響いた格好だ。
しかしアップルは依然として、iPhoneの成長余地について強気の姿勢を崩していない。iPhoneが発表されて10周年を迎えた2017年1月9日、強気の背景にはiPhoneの大幅な刷新などを伴う、「iPhone革命の再来」という狙いが見え隠れする。
App Storeは、iPhoneを選ぶ理由となり、またiPhoneを選び続ける動機を作る存在だ。iPhoneがいくらいい製品でも、いいアプリがそろっていなければ意味がない。App StoreにはiPhoneの魅力の片翼という大きな意義がある。
そのアプリの発展を支えるのはiOSの発展であり、開発者が使えるようになるiPhone・iOS向けの機能(API)だ。これは毎年6月に開催される開発者会議WWDCが重要であることの裏付けとなる。
2017年になってもスマートフォンの競争は依然としてAndroidとiOSの2つのプラットフォームが中心であり、ウエアラブルデバイスもこれに準じる競争となっている。
しかし、ここに来て顕在化してきた新たなプラットフォームがある。それは据え置き型の音声デバイスの存在だ。特に「Amazon Echo(エコー)」の躍進が光る2016年だった、と振り返ることができる。
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