IT企業が「自動車」へと目を向ける必然理由 「CES」で見えた最新技術トレンド
携帯電話事業者と端末メーカーが集まる「Mobile World Congress」が毎年2月開催と時期が近く、スマートフォン関連の商品発表はCESでは少ないが、先進国での需要が一巡したのも大きな理由だろう。
また、スマートフォンは先進国での売り上げ減を新興国でカバーし、グローバルでは伸びているものの、タブレットはこの2年需要が急減している。これはスマートフォンと同様に先進国での普及が一段落したうえ、新興国でのタブレット需要が伸びていないためだ。
両製品ジャンルとも成長余力は新興国にしか残されておらず、デジタル製品の“インフラ”にはなっているものの、従来ほど右肩上がりの未来を描けなくなっている。新興国でのスマートフォン市場拡大は、主に低価格製品に依存しており、iPhoneをはじめとする“高級機”が今年、昨年よりもさらに苦戦するだろうことを予想させる。
CTAは今年のグローバルにおけるスマートフォン売り上げを4320億ドルと予想しており引き続き大きな市場ではあるが、2016年予測の4310億ドルからは微増。新興国市場の開拓がさらに進む一方で先進国での売り上げは下がるとみられ、販売される製品の価格帯が異なることなどから収益性も下がるだろう。
スマートフォンから派生したタブレットやスマートウォッチを含むウエアラブル製品についても新規出展は落ち着いてきた。市場そのものは伸びており、CTAでは今年50%の伸びを予測。1億2200万ドルから1億8400万ドルに成長するとしているが、一方でApple Watchの苦戦、レノボ傘下のMOTOブランド(旧モトローラ)がスマートウォッチ事業を終息させるなどの動きもあり、事業の収益性には疑問が残る。
VR製品など成長分野はあるが……
このように2017年のCESは多様性を極めた。Amazon EchoやGoogle Homeといったデジタルアシスタンス製品、ドローン、バーチャルリアリティ製品といった成長分野もあるが、いずれもまだ大きな市場には育っていない。しかし、ネットワーク化とクラウドを中心に、テクノロジーが社会を変えるという視点ではひとつのテーマ性を保っている。
“家電”という切り口では縮小しているように見えるCESだが、ジャンルをまたがって新たな提案が見られる展示会としては膨張しており、その傾向は今後も進むだろう。
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