高級生地「英ハリスツイード」安値乱売のなぜ 大手小売りもルール違反、協会が対策強化へ

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背景には2011年以降、英国での製造体制が変わり、供給が増えたことがあるようだ。日本では一部のセレクトショップなどで若者の間で人気化していたこともあり、「これは売れる」と多くの量販店が飛びついた。

高級生地を手に取りやすい価格で販売するのは“企業努力”と言えなくはない。だが、英国アパレルに詳しいジャーナリストの長谷川喜美氏は「このままでは100年の伝統のある英国のブランドが毀損する」と懸念を示す。

商標権侵害の可能性も

協会はハリスツイードの「被服」や「布地」を日本固有の商標として登録している。ファッション業界の法律問題に詳しい山本真祐子弁護士は、「ガイドラインに従わないでハリスツイードのマークを付すと、商標権侵害などが生じうる」と指摘する。

協会側もようやく対応に乗り出す。今年2月下旬には協会のローナ・マコーレー会長が来日し、英国大使館やスコットランド国際開発庁などと現状把握を行い、対応を協議する見通し。これまで日本には協会の出先機関はなく、抜本策を講じていなかった。今後はブランド管理担当者も置く方針だ。「日本は非常に重要な市場であり、近年の商標誤用に対して措置を講じる必要がある」(マコーレー会長)。

低価格品が広まったのは、協会のブランド管理の甘さもある。だが、ガイドラインを順守せず取引先任せで販売する小売店側の責任は軽くはない。品質は二の次、ブランドの威光だけで商売する姿勢など、消費者からすぐにソッポを向かれることになる。

菊地 悠人 東洋経済 記者

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きくち ゆうと / Yuto Kikuchi

早稲田大学卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者を経て2017年10月から東洋経済オンライン編集部。2020年7月よりIT・ゲーム業界の担当記者に。

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