モデル写真は「未加工」が最新トレンドだった 下着ブランドが「ありのまま」で収益21%向上
ニューヨークのエージェンシー・ケトルのシニア・ソーシャル・ストラテジストであるクリス・ギルバート氏は、「本当の責任はオーディエンスとより良くコネクションをつくることだ。そのために何が必要であっても。(あらゆる体形を)受け入れるポリシーを、ブランドの中核に据えているブランドは、その成果を得つつある」と語る。
かつて、何がトレンドかはファッションブランドが決めていた。しかし、それは変わりつつある。いまでは消費者自身が、ブランドの注目をどんどんと集めるようになっている。しかし、この消費者を中心に据えたブランド運営は、ファッション業界が長年取り組んできた「あこがれ」を売る、という理念とぶつかる。ラグジュアリーブランドであればそれは顕著だ。
「フォトショップやレタッチを止めるのは、主流のアプローチではない。ファッションは『あこがれ』を売るものである。なので現実より良く見せるのは問題ないとされている。あこがれのイメージへとつながるのであれば、必ずしも嘘偽りにはならない」と、エージェンシー・ロニーのファウンダーであるロニー・ザイダン氏は語る。
ブランドとユーザーの断裂
いわゆる消費者に向けて夢を描く、もしくは消費者データを分析するという、従来通りのファッションマーケティングがいまだ堅実だ。「あこがれ」が収益につながるという考えを多くのブランドが信じている。ソーシャルメディアがどんどんと民主主義的なアプローチを見せてきているものの、特にラグジュアリー・ブランドはまだその考えを固くもっているとギルバート氏はいう。
「ファッションにおける従来的な考え方と、民主主義的なソーシャルなスペースはちょっとした断裂を生み出している。ミレニアル世代がリーダー的な地位へと上っていくなかで、そのシフトはさらに進化するだろう。彼らのブランドは古くから続くブランドとは違った方法で経営されるはず。そういった意味での政権交代は今後起きてくるだろう」。
エイリーは10代や20代の女性をターゲットにしている。ソーシャルメディアを通してそうした若いカスタマーとの会話を続けた結果、ありのままの自分を反映しているブランドを求めているということに気づき、モデルのフォトショップを止めることにしたという。