アベノミクスは格差縮小に効果があったのか 格差がわずかに縮小した本当の理由

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縮小

さて、そんな観点から、12月下旬に閣議決定された2017年度予算を眺めてみると、どこまで格差に配慮した予算になったのだろうか。

歳出のちょうど3分の1を占めるまでに膨らんだ社会保障関係費をみると、高額療養費や高額介護サービス費の見直し、75歳以上の後期高齢者の保険料軽減特例の見直しなどを行った。

必要なのはトリクルダウンよりも社会保障改革

さらに、2018年度以降に実施する改革として、「金融資産の保有状況を考慮に入れた負担のあり方」や「かかりつけ医普及の観点からの外来時の定額負担」など、高齢者の大きな反発を呼びそうな論点が残されている。
だが、これらはいずれも、社会保障と財政を持続可能にしていくための「改革工程表」に基づく改革案であり、2020年代以降に団塊世代が75歳以上になるのを前に必要な最低限の改革だ。

2017年に入り、アベノミクスは5年目を迎える。この間、名目GDP(国内総生産)は507兆円(2013年度)から532兆円(2015年度)に増加し、名目賃金は前年比プラス圏で推移している。だが、それでも経済成長による格差縮小効果はわずかだったといえそうだ。

経済成長がもっとも重要であることにまったく異論はない。だが、アベノミクスによるトリクルダウン効果が限定的である以上、求められているのは、利害調整の難しさを伴う社会保障や税制の改革を一歩ずつ、着実に進めていくことではなかろうか。

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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