海を渡った千代田線車両、「第2の人生」の内幕 日本の技術が安定運行に貢献している

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週末でもかなりの利用客で混み合う(写真:筆者撮影)

わずか3〜4年前まで、ジャカルタの電車は「ドアは開けっ放し、屋根にまで人が乗る」という異常な状態で運行されていた。電車がいなくなると線路の上を人が歩き回り、場所によっては市(いち)まで立ったりとさんざんな状況にあり、現地の人々の間では「貧困層の移動手段」と位置付けられていた。ところが、軍隊などの力も借りて駅構内や線路施設での秩序維持に注力した結果、「ドアから乗客が乗り降りする普通の乗り物」へと大幅に改善した。その結果、近郊に住むホワイトカラーたちが通勤の手段として、積極的に電車に乗る傾向が高まってきた。

走っている電車が日本からの「お下がり」とはいえ、品質が悪いわけではない。日本において日々メンテナンスがしっかり行われて来た車両は、まだまだ現役で使える。KCJでは、埼京線、横浜線や南武線といった東京首都圏のJR各線で使われていた205系が主力車両として活躍しているが、2016年に入ってから東京メトロ千代田線を走っていた6000系の追加が進み、輸送力の増強に寄与している。

東京で45年も活躍した車両がジャカルタで復活

住民たちの「自警団」が作った踏切の脇を通る元・千代田線車両(写真:筆者撮影)

12月3日、筆者は「南武線車両のシートに挟まっていたスマホ」を発見したKCJのエンジニア、オマットさんと共に現地の電車に乗る機会を得た。

「ボクの会社へ最近やってきた『新しいクルマ』はこれ!」とオマットさんが紹介してくれたのは、昭和44年(1969年)製の東京メトロ千代田線2次試作車「6101F」編成だった。つい先頃まで、東京メトロで走る「最も古い車両」だったものだ。

この編成は車体裾のサイズの都合で小田急線に入れない、内装の袖仕切りが若干異なる、座席のモケットが茶色などの特徴があったことから、マニアの間では「解体は避けてほしい」「メトロが保存してくれないかな」とその動静が心配されていた。日本では今年5月に運用から退いたものの、幸いなことにKCJへそのまま運ばれ、インドネシアの人々の足として働いている。車両の前頭部が赤と黄色のKCJ色に塗り替えられたが車内の雰囲気は当時のまま、天井を回る扇風機が「昭和の郷愁」をかきたてる。

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