スマホの「GPS」で従業員監視は許されるか 会社は従業員のサボり対策に使えるが…
会社が支給しているiPhoneで従業員の居場所確認をするのは違法でしょうか――。弁護士ドットコムの法律相談コーナーにそんな相談が寄せられました。
相談者の会社では、従業員の居場所を把握して、当日の突発的な案件などを割り振るためのコントロールとして使っているそうです。また、従業員が決まった時間に客先に行かないことがあるため、サボり行為を監視する意味などもあるそうです。
GPS監視をめぐっては、ほかにも相談が寄せられています。別の相談では、会社から、私物のスマホにGPS機能アプリをダウンロードするよう指示されているケースがありました。勤務時間外にオフにすることは認められていますが、スマホの電池の消耗を早めるため、相談者は疑問を抱いています。
勤務時間中の行動をGPS機能で監視することはプライパシー侵害などの問題にならないのでしょうか。私物のスマホを利用する場合も問題ないのでしょうか。櫻町直樹弁護士に聞きました。
一定の措置を講じることは認められる
IT技術の進歩によって、従来では想像もつかなかったような変化が社会の様々なところで生じていますが、今回のような「従業員の行動を、スマートフォンに内蔵されたGPS機能を使って管理・把握する」というのも、まさにそのような変化の一例といえるでしょう。
とはいえ、問題の本質は「使用者(会社)が、従業員の行動等を管理することが許される限界はどこか」ということです。GPS機能という技術によって管理が容易にできるようになったというだけで、そのような技術がない時代においては、例えば「1時間毎に所在を上長に報告させることは許されるか」という形で問題になりえたでしょう。
さてどう考えるかですが、会社(使用者)は、雇用契約・就業規則に基づき、従業員に対して監督、業務命令、懲戒等を行うことができます。